キーマンインタビュー
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AEON PET
トリミングサービスで200万匹の北京ペット市場と中国全土へ挑む
AEON PET
総経理 平沢 吉崇氏
2008年、北京郊外のイオンモール誕生とともにオープンした「ペットシティ」(現イオンペット)。「トリミングサービス」と「ホスピタリティ」は中国のペット市場に旋風を起こせるのか。
現地に住んだからこその戦略立案
2012年に私の勤務していたイオン㈱100%子会社のペットシティ(業界1位)は、業界3位のAHBインターナショナル㈱と合併し、イオンペットになりました。元々ペットシティは、日本のイオンモールや他のショッピングモール内にて、総合ペットショップを運営(物販・トリミング・生体/インテナント・病院・その他サービス)しており、北京のイオンでも同じ戦略のもと、08年から営業をスタートしていました。イオンのアジア重視の経営方針の流れを受け、11年から中国ASEAN担当部長になり、北京の店舗の苦戦の原因究明と今後の戦略立案のため、12年から北京駐在がスタートしました。
仕事を始めてすぐに感じたことは、日本と中国の消費者の消費行動の違いとイオンペットの強みである、ペットフードや用品の販売、トリミングサービスという業務のうち、物販の難しさでした。まず、消費行動の違いは、日本ではペットを車に乗せてショッピングモールに来るという流れが出来ていますが、中国では高級マンションの敷地内で生活が完結できるだけのインフラが整っており、そこに入り込んで行かない限り、我々の強みを知ってもらうことすらできないということでした。また、ペットフードや用品の販売は、中国の法的な縛りが厳しく、価格面でローカル店やネット販売店舗に勝てないことを痛感しました。
これらのことは、実際に北京に住んで多くのお客さまの話を聞く機会があったからこそ明らかになったことです。そこで店舗については、14年1月より陽光上東という富裕者層が数多く生活するマンションの敷地内に路面店舗1号店「Pettina(佩蒂娜)」をオープンしました。
日本式のサービスの良さを
「トリミング」を通じて展開
ペット販売、ペットフードや用品の販売という強みでない部分はひとまず置いておき、「トリミングサービス」をメインに今後は中国市場に挑戦する予定です。トリミングサービスは、ペットを通じてお客さま(飼い主さま)に感動をもたらし、その対価としてお金をいただく「究極のマンパワービジネス」。確かにマンパワーがかかりますが、そこに日本式の「ホスピタリティ」を加えることで、十分に中国の皆さまに受け入れられると信じています。
陽光上東店がオープンして半年ですが、多くのリピーターにご支持いただいています。ある時、トリミング中に誤ってペットに怪我をさせたことがありました。すぐに飼い主に連絡して動物病院に連れて行き治療し、その後回復まで手厚くフォローさせていただきました。日本では当たり前のことですが、中国では「怪我したのはペットが動いたから」と非を認めず、病院すら連れて行かないことが普通だったのです。献身的な対応に感動をしていただき、今では常連のお客さまになりました。ホスピタリティの大切さに気づいた瞬間でした。
もちろんトリミングを主力商品にするということは、トリマーの採用、教育から技術の標準化、そしてお客さまを満足させる「ホスピタリティ」を身につけてもらうなど、難しい問題も山積みです。中国では、トリマーの資格は3週間ほどで取得できますが、その後身一つで仕事を探して歩くような状況です。当然さらなる技術教育が必要になります。また、トリマーはもちろんペットに対してサービスをするわけですが、実はペットを通してその飼い主に満足していただくことが大切なのです。だからこそ、ホスピタリティの大切さを学んでもらい、お客さまの望んでいることを積極的に提供していけるよう心がけなくてはなりません。
北京で構築したサービスを
中国全土に拡大したい
トリミングサービスを通じて地域のお客さまに喜んでいただくというこのビジネスモデルを、14年中に北京でもう1店舗、さらにイオンのある香港や華南地区などでも展開していく予定です。ペットを飼うというのは、ある程度の可処分所得や飼い主の意識の高さなどが求められます。そういう意味では、香港や華南地区の方々のペットに対する思いはすでに日本の方々に近いレベルにあると思います。
また北京には現在推定200万匹のペット市場があるといわれています。東京でも65万匹と言われていますから、そのマーケットの大きさが窺われます。我々は、その中でも我々の提供する価値が伝わる・理解していただける富裕者層に特化して、日本の最新サービスや商品をその方の生活に密着して提供していくということをやっていきます。そのために、日本人トリマーの常駐と上位スキルトリマーの日本本社での研修へ参加させています。これは日本流の押しつけではなく、常にお客さまの望んでいることを分析、評価して、品質の維持を心がけ、自分たちの価値を正しく理解してくれる人たちへ日本人のホスピタリティを届けていくということです。
PROFILE
ひらさわ よしたか
1972年生まれ。北海道札幌市出身。96年、駒沢大学文学部卒。同年、イオングループ・ミニストップに入社。店舗勤務を経、ストアーアドバイザーとして加盟店指導に当たった後、2002年よりエリアマネージャーに。06年、ペットシティの事業拡大のための公募に応募。06年の68店舗から、その後開発部長・営業部長として160店舗までを手がけた。12年4月より、北京総経理として着任。
平沢さんを知るキーワード
永娃(北京)寵物用品有限公司
(イオンペット北京)
昌平区北清路1号永旺国際商城購物中心106区(イオンモール国際商城店内)
TEL:010-8440-5859
総経理 平沢 吉崇氏
2008年、北京郊外のイオンモール誕生とともにオープンした「ペットシティ」(現イオンペット)。「トリミングサービス」と「ホスピタリティ」は中国のペット市場に旋風を起こせるのか。
現地に住んだからこその戦略立案
2012年に私の勤務していたイオン㈱100%子会社のペットシティ(業界1位)は、業界3位のAHBインターナショナル㈱と合併し、イオンペットになりました。元々ペットシティは、日本のイオンモールや他のショッピングモール内にて、総合ペットショップを運営(物販・トリミング・生体/インテナント・病院・その他サービス)しており、北京のイオンでも同じ戦略のもと、08年から営業をスタートしていました。イオンのアジア重視の経営方針の流れを受け、11年から中国ASEAN担当部長になり、北京の店舗の苦戦の原因究明と今後の戦略立案のため、12年から北京駐在がスタートしました。
仕事を始めてすぐに感じたことは、日本と中国の消費者の消費行動の違いとイオンペットの強みである、ペットフードや用品の販売、トリミングサービスという業務のうち、物販の難しさでした。まず、消費行動の違いは、日本ではペットを車に乗せてショッピングモールに来るという流れが出来ていますが、中国では高級マンションの敷地内で生活が完結できるだけのインフラが整っており、そこに入り込んで行かない限り、我々の強みを知ってもらうことすらできないということでした。また、ペットフードや用品の販売は、中国の法的な縛りが厳しく、価格面でローカル店やネット販売店舗に勝てないことを痛感しました。
これらのことは、実際に北京に住んで多くのお客さまの話を聞く機会があったからこそ明らかになったことです。そこで店舗については、14年1月より陽光上東という富裕者層が数多く生活するマンションの敷地内に路面店舗1号店「Pettina(佩蒂娜)」をオープンしました。
日本式のサービスの良さを
「トリミング」を通じて展開
ペット販売、ペットフードや用品の販売という強みでない部分はひとまず置いておき、「トリミングサービス」をメインに今後は中国市場に挑戦する予定です。トリミングサービスは、ペットを通じてお客さま(飼い主さま)に感動をもたらし、その対価としてお金をいただく「究極のマンパワービジネス」。確かにマンパワーがかかりますが、そこに日本式の「ホスピタリティ」を加えることで、十分に中国の皆さまに受け入れられると信じています。
陽光上東店がオープンして半年ですが、多くのリピーターにご支持いただいています。ある時、トリミング中に誤ってペットに怪我をさせたことがありました。すぐに飼い主に連絡して動物病院に連れて行き治療し、その後回復まで手厚くフォローさせていただきました。日本では当たり前のことですが、中国では「怪我したのはペットが動いたから」と非を認めず、病院すら連れて行かないことが普通だったのです。献身的な対応に感動をしていただき、今では常連のお客さまになりました。ホスピタリティの大切さに気づいた瞬間でした。
もちろんトリミングを主力商品にするということは、トリマーの採用、教育から技術の標準化、そしてお客さまを満足させる「ホスピタリティ」を身につけてもらうなど、難しい問題も山積みです。中国では、トリマーの資格は3週間ほどで取得できますが、その後身一つで仕事を探して歩くような状況です。当然さらなる技術教育が必要になります。また、トリマーはもちろんペットに対してサービスをするわけですが、実はペットを通してその飼い主に満足していただくことが大切なのです。だからこそ、ホスピタリティの大切さを学んでもらい、お客さまの望んでいることを積極的に提供していけるよう心がけなくてはなりません。
北京で構築したサービスを
中国全土に拡大したい
トリミングサービスを通じて地域のお客さまに喜んでいただくというこのビジネスモデルを、14年中に北京でもう1店舗、さらにイオンのある香港や華南地区などでも展開していく予定です。ペットを飼うというのは、ある程度の可処分所得や飼い主の意識の高さなどが求められます。そういう意味では、香港や華南地区の方々のペットに対する思いはすでに日本の方々に近いレベルにあると思います。
また北京には現在推定200万匹のペット市場があるといわれています。東京でも65万匹と言われていますから、そのマーケットの大きさが窺われます。我々は、その中でも我々の提供する価値が伝わる・理解していただける富裕者層に特化して、日本の最新サービスや商品をその方の生活に密着して提供していくということをやっていきます。そのために、日本人トリマーの常駐と上位スキルトリマーの日本本社での研修へ参加させています。これは日本流の押しつけではなく、常にお客さまの望んでいることを分析、評価して、品質の維持を心がけ、自分たちの価値を正しく理解してくれる人たちへ日本人のホスピタリティを届けていくということです。
主力商品と位置づけるトリミングサービスのようす。日本人トリマー常駐(日本から出向)、トリミングの技術力で地域店舗との圧倒的差別化を図る。自分勝手なカットではなく、飼い主とよく話をし、満足度を追求。
PROFILE
ひらさわ よしたか
1972年生まれ。北海道札幌市出身。96年、駒沢大学文学部卒。同年、イオングループ・ミニストップに入社。店舗勤務を経、ストアーアドバイザーとして加盟店指導に当たった後、2002年よりエリアマネージャーに。06年、ペットシティの事業拡大のための公募に応募。06年の68店舗から、その後開発部長・営業部長として160店舗までを手がけた。12年4月より、北京総経理として着任。
平沢さんを知るキーワード
犬のいる生活が自分の日常
同僚と羊肉串を食べる幸せ
植樹を通して社会貢献
永娃(北京)寵物用品有限公司
(イオンペット北京)
昌平区北清路1号永旺国際商城購物中心106区(イオンモール国際商城店内)
TEL:010-8440-5859
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