キーマンインタビュー

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乃村工藝建築装飾(北京)有限公司
本社の新体制とともに 次のステップである 現地化を推し進める
董事 総経理 向 隆宏氏
本社の増益に伴い、社長が会長に、副社長が社長に就任。新体制下でブランドステイトメントの再構築が打ち出される中、北京も現地化を視野に新たな一歩を踏み出す。
百貨店・専門店などの商業空間、博物館などの文化施設や博覧会といったイベント空間など、集客空間の演出・プロデュース。日本において〝ディスプレイ業〞といえばまず名前が挙がる「乃村工藝社」。その全額出資会社として、2004年に北京に設立されたのが「乃村工藝建築装飾(北京)有限公司」だ。日本で培ってきた、空間創造のプロフェッショナルとしての強みを軸としながらも、親会社とはまた違う軌跡を歩み、ここ中国で頭角を現している。
ニーズに即して進化してきた10年
「会社を設立した2004年は、世界中の企業が、中国を拠点に活発に企業活動をしていた頃でした。当初は社員数10名ほど。業務内容も世相を反映し、中国に進出された日系企業の展示会のお手伝いがメインでした」と、向総経理は振り返る。転機が訪れたのは07年頃。「中国が〝世界の工場〞から〝世界のマーケット〞へと変貌を遂げ、ブティックやブランドショップが一気に出店を加速し始めました。と同時に、我々の業務の軸足も、それまでの展示会を中心とした業務から、店舗デザインや店頭プロデュースへと広がっていきました」。今となっては同社の柱となっているCM(コンストラクション・マネジメント=施設制作管理)事業の基盤は、この頃に築かれたと言えるだろう。「CM事業におけるクライアントも、最初はすべてが日系企業でしたが、日本における親会社の実績を評価してくださった取引先との繋がりもあり、欧米企業からの依頼が増え始めました」。上海に支店を設立したのもまさに07年。「欧米系の企業やブランドが中国に進出する際に、拠点として候補に挙がるのが香港、そして上海。中国におけるヘッドクォーターも多いこの土地に我々が支店を構えることは必然だったと思います」。
同社は13年、中国3カ所目の拠点として、成都にも支店を設立。「これも、内陸エリアへの進出を希望されるお客さまの存在があったからこそ。04年の設立からこれまで、業務形態の変遷や支店オープンにいたるまで、弊社の軌跡の基盤にあるのは一貫して〝お客さまの動き〞でした。常に〝お客さまが求めていること〞を追求してきた結果が、乃村北京の歩んできた10年間です。」
ハイクオリティーを堅持するために
現在、ラグジュアリーブランドの店舗設計施工をはじめ、ハイエンドな仕事を数多くこなしている同社。「そこで扱われている品と、同じ価値観を持つ空間の作り出せるパワー」と、向氏は同社の強みについて言及したが、「中国においてもハイクオリティーを堅持し続ける」という命題に対して、こんな取り組みも教えてくれた。「日本の親会社から10数名のエンジニアを中国に送り込み、現地スタッフの指導に文字通りマンツーマンで当たっています。日本での技術研修も交えながら、建築・施工ノウハウや〝乃村工藝スピリット〞とも言える精神面までを着実に伝えていく。この一子相伝のような作業こそが、高い仕事レベルの源でしょう」。
また、前述のCM事業と並び、同社のビジネスにおける二本柱となっているのが「サプライ事業」だ。これは什器などを中国で製造し、日本を含むアジア全域へと届けるものだが、そのすべてを自社工場を持たない、いわゆる「ファブレス」な事業として展開しているのも、同社ならではの特徴だろう。「我々が中国で築くのは、工場ではなく生産体制」と同氏が語るように、ここでもやはり重要となってくるのは、実際に製造に当たる協力企業の技術力。そのために「管理レベルを高め、工場とのチームワークを強めることで、確固たる生産体制を作り出すことがミッションです」。ものづくりに懸ける〝乃村工藝スピリット〞の伝播に、目下、全霊を注いで取り組んでいる。「今後、高品質な商品をサプライするだけでなく、貿易も視野に入れて展開していきたいです。たとえばパーツを中国で作り、組立は日本で行うなど、日本の生産性が上がるような仕組みが理想。昨今、日本の生産性の落ち込みが取り沙汰されていますが、今こそ、未来の日本の生産力を底支えするのは、ここ、中国であってほしいと思っています」。
14年より「現地化元年」がスタート
「本社の新体制がスタートしたこともあり、乃村北京でも、中国10年を迎えた2014年を〝現地化元年〞と位置づけることになりました」。向氏の示す〝現地化〞とは、乃村北京の中国人スタッフが中国のローカル企業に対して、カスタマイズされた空間や商品を提供していく、という意味合いだ。そのために必要なことは、社員の人的リソースの増強と営業力の強化。「今
後中国ローカル企業への営業で大切なことは、お客さまの要求をまず十分に引き出し、自分のエンジニアリング(最適な組み合わせ)で解決していく力です」。同氏が営業する中で、お客さまが自身のニーズを理解していないと感じることが多いそう。そのニーズを一緒に整理し、欲していたものを認識してもらう。それができる人材こそが、乃村北京の次世代を担い、現地化を推し進める力になっていくのだろう。
15年3月、798芸術区にオフィスを移転。クリエイティブ力を触発される空間を求め、滅多に空かない物件を運命的に発見。即断で決めた。「睿工技藝」がモットー。従業員数は、中国3都市で約75名(北京約30名)。
PROFILE
むかい たかひろ
1960年生まれ。石川県出身。1985年に乃村工藝社入社。主に文化環境事業に従事し「佐賀県立宇宙科学館」「東北歴史博物館」「国立科学博物館新館」など多数の博物館工事を担当。08年より同社一級建築士事務所所長。12年より乃村工藝建築装飾(北京)有限公司 董事・上海本部本部長、13年より董事・総経理。
向さんを知るキーワード
主体性の大切さを説く言葉
常に主体性を持てば、どこにいても自分を見失わないという意味の、臨済宗開祖の言葉。「30年近い東京勤務から初の転勤先が中国と決まった2年前、“ノムラマインド”の根幹であるこの言葉に支えられました」
修学旅行先で、将来を意識
中学の修学旅行先で見た、雨の金閣寺。「特別な空気感に一瞬で虜になりました。建築を含め、五感に伝わるような“空気”をデザインしたい、と思ったきっかけです」
得意の夏パスタをご紹介
茹でたてパスタにタイムを一振り、冷やしたトマト、バジル、オレガノをのせ、熱々のガーリックオイルをかけるとジュッという美味しい音がして完成。夏のパスタの逸品です。
乃村工藝建築装飾(北京)有限公司
朝陽区酒仙橋路2号01商務楼306室
TEL:010-6566-7840
URL:http://www.nomuradesign.cn
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