キーマンインタビュー

Rakuten Global Trading Hong Kong Limited
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Rakuten Global Trading Hong Kong Limited

取締役兼ジェネラルマネジャー 寺尾忠久氏

世界髄一のフリーポートながら
未開のeコマース市場を
日本の「安心感」が開拓する

 世界各国から商品が集中し世界一を誇る取引規模の国際都市香港。一方、まだまだ未開拓な部分が大きいeコマース市場。今後の拡大化を図る同社の取組みに迫る


 楽天株式会社は、1997年にECコマース事業を柱に三木谷浩史が設立し、現在、約9200万人のグループ会員を持つ国内最大級のネットショッピングモール「楽天市場」を運営。また同社は、日本に本社を置き、アメリカ、欧米、台湾、シンガポールなど世界12ヵ国(ECのみ)もの拠点展開を果たすグローバル企業の一つである。その同社が2014年4月に香港に拠点を設立。設立に尽力された寺尾氏に現在に至る取組みや今後の展開を伺った。


「楽天グローバルマーケット」の
日本とは異なるターゲット層

 弊社は、「日本の商品」を香港マーケットに販売するという日本発祥のサービスを提供しています。具体的には、「楽天グローバルマーケット(http://global.rakuten.com/en/)」を運営し「日本の商材を販売するNO1プラットフォーム」を目指しています。香港の場合、言語を繁体字(もしくは英語)、通貨をHK$に選んで表示させることができます。主なターゲットは、20代~30代女性を中心とする日本のターゲット層とは異なり、約100~200万円するエルメスのバックが毎月売れるという30代~40代の女性のターゲットが中心です。また、ゴルフクラブや、日本酒、しまづの釣り具など日本製の魅力に精通された40代~50代の男性ターゲットの割合も高くなっています。やはり、クロスボーダーで購入するということからニッチな層になっているようです。とは言え、日本企業の運営サイトであることから「本物であるという安心感」への期待は根強く、香港のモンコックなどではなかなか揃わないアイテムが揃うため、アシックス、ミズノ、ニューバランスといったスニーカーなども人気商品です。今後は、ニッチ層を中心にしながら徐々にその裾野を拡大していきたいと思います。


「楽天グローバルマーケット」を
広く浸透させるために

 香港拠点の設立は、もともとこのサービスの利用者である中国・香港の方々からの注文が多かったことが背景にあります。香港にオフィスを構え、さらにマーケティング活動していくことで、よりこのサービスを普及させていくことを目指しています。具体的な取り組みとしては、香港で独自のマーケティングを実施しています。

 例えば、香港の方がアクセスした時に表示されるキャンペーンページの設計もその一つです。2月には「旧正月向け贈答品」を企画するなど、季節ごと、イベントごとなど、香港独自のニーズに応じたキャンペーンページを作成しています。

 また、オンラインだけではなかなか浸透しないため、オフラインでの運用も実施しています。例えば、「メディア向けの試食会」です。ネットの取り扱い商品をリアル店舗でメディアの方に試食していただき、感想を同メディアやFacebookを通じて紹介しています。香港ではネットで食品を買う習慣はまだ少ないものの、ファッション系を中心にネット購買比率が高い傾向がありますので徐々に食品も購入いただけるよう期待しています。

 また、クロスボーダー(=国際間取り引き)で購入する際に一番ネックとなるのは「送料」です。その問題を解決するために、弊社では、社内投資を行い、不定期かつ継続的に送料無料やポイントキャンペーンを実施しております。サイトをご研究いただければ、実質30~40%引きで、かつ日本から送料無料で、購入できるという、購入者にとってのお得感が満載のサイトになっています。個人的にも利用したいです(笑)。銀行やカードブランドとも提携していますので、まずはそこを入り口にお試しいただければと思っています。このような試みができるのもひとえに、ローカルパートナー様とのご協力により実現できたことであり、香港に拠点を構えたからこそと実感しています。

 一方、弊社のサイトは、基本的に企業様を対象として、明確な審査基準を設定して商品出店いただいていますから、品質管理ができています。また、単に「商品と価格」を一覧にするのではなく、商品の特徴や、商品に込められた企業様の想いを紹介し、共感いただき購入するというプロセスを設計している点も特徴です。ですから、一度購入いただき納得いただければ、リピート購入につながる可能性も高くなるという利点があります。ぜひ、小売企業・店舗の方には弊社のプラットフォームを販売促進に活用いただければと思います。

 弊社では、香港を「世界一のフリーポート」と位置付け、今後さらに、香港を拠点に中国マーケットも視野に入れたビジネス展開をプランニングしている段階です。


 香港のeコマース市場は昨年あたりから徐々に浸透しているとはいえ、香港に拠点を設立されわずか10ヵ月目には昨年対比2倍以上を達成するという成長スピードに驚かされる。これからさらに、「日本の商品を買うなら楽天」というキャッチフレーズとともに、「日本の商材」が充実し、香港市場に「日本の安心感」が届けられ、愛され続けるサイトに成長することを確信した。



楽天に出店されているクライアントとともに、商品の魅力を伝えるための地道な努力を欠かさない寺尾氏。「お酒好きの寺尾氏だから」といただくことも。「出展者の方とのつながりを大事にしています」と語る。


PROFILE

てらお ただひさ

東京大学大学院工学修士、Royal Institute of Technology 、INSEAD MBAを卒業。2007年楽天株式会社(東京)に入社しプロジェクトマネージャー。2009年台湾楽天市場(台湾)で経営企画室長。2012年Rakuten Asia Pte.Ltd(シンガポール)にて取締役、2014年4月Rakuten Global Trading Hong Kong Limited(香港)取締役兼ジェネラルマネジャー。


<寺尾さんを知るキーワード>


6才の愛息が描く家族


シンガポールでサイクリングを楽しんでいた当時を6才の愛息が描いた家族のスケッチ画は、寺尾氏を支える大切な宝物の一つ。香港の休日も、子どもの自転車伴走とともに6kmをランニングするなど家族との時間を楽しんでいる。


365日手放せないiPad


初めて海外赴任した台湾で購入し、ずっと愛用しているというiPad。出張や異動が多い仕事柄、メールチェックなどに欠かせないアイテム。iPadカバーには、海外の観光名所が描かれ、寺尾氏のグローバルな活躍を予感させる。


365日欠かせないお酒


単身来港した最初の4カ月は、毎日ワインを1.8本愛飲するほどのお酒好き。シンガポール酒税と比較すると約1/2であることが理由とか。健康面を気遣う奥様が来港後は一日グラス一杯に(笑)。写真は、和牛プロモを一緒にした店舗の方からの贈物。


Rakuten Global Trading Hong Kong Limited

Office No.11, 16/F, Shatin Galleria, 18-24 Shan Mei Street, Fotan, NT, HK
℡(852)2481-6300
global.rakuten.com/en/
tadahisa.terao@mail.rakuten.com


Rakuten Global Trading Hong Kong Limited

住所 Office No.11, 16/F, Shatin Galleria, 18-24 Shan Mei Street, Fo Tan, NT, HK MAP
電話 852-2481-6300

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