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時代や立場が変われども公明正大さのもとに 日々、地道な努力を重ねる

日本航空公司 執行役員 中国総代表
北京支店長

江利川宗光氏


中国で大連、北京、天津、上海、広州、香港の6拠点を備え、週間105便を運航するJAL。経営破たんを機にどのように軌道修正したか、今後の中国、アジアの戦略について伺った。


ビジットジャパンの一員として

 2012年、日本を訪れた中国人(大陸)観光客は143万人。昨年は9月のデモで中国人観光客が激減したと言われましたが、それでも過去最高数だったのはご周知の通りです。中国とは異なる日本各地のさまざまな魅力に加え、香港や台湾の方々のリピート率の高さとルートの豊富さを見ると、日本の代わりに韓国や東南アジアに旅行したといわれる潜在層を含めて将来的には300〜400万人の成長は見込めると予測されます。そのためにもピーク時以外のニーズや、ゴールデンルート以外の新たなルート提案など、弊社はもちろん、国や旅行会社が一体となって訪日旅行を盛り上げていく必要があります。

 それを実現するために、JALCHINAでは、マーケットに根付いた「仕組みづくり」、「チャネルづくり」、「人財づくり」の3つに柱を置いています。たとえばサービスを高める「仕組みづくり」では、弊社が加盟するアライアンス〝ワンワールド〞の強みを生かし、マイルの提携やラウンジ共用など、お客さまにご満足いただけるよう努めています。さらに、東アジアから直行便のいボストンやサンディエゴなどへ新路線を開設するとともに、世界最大級の航空会社、アメリカン航空などとジョイントベンチャーすることで、自社の弱いエリアへのアクセスも充実させていきます。

 また、長年人事畑を経験した私が着任した今年度からは、3番目の「人財づくり」に力を入れ、中国全土の600名強のスタッフ、とくに現地スタッフがしっかりと新生JALの精神を受け継げるよう、グローバル研修などを積極的に導入しています。

 中国を含めてアジアというのは、我々にとっても最重要エリアのひとつ。中国人の方々にJALをもっと認知してもらうためにも、JAL流の安全への徹底したこだわりと定時性を守ること、おもてなしの心を大切にしています。


長年憧れだった海外へ


 私は群馬県前橋の八百屋の息子として生まれました。子どものころ仲の良かった同級生の父親が、ブラジルで事業を行う会社に転勤、ブラジルの工場で異なる人種の社員が仲良く写っている写真を見ては「いつか海外に行く仕事がしたい」と願っていました。その後、外国語大学に進学し、ポルトガル語を専攻、ブラジル留学を経て日本航空に入社しました。

 私が入社した当時は、まずは全社員が空港現場に配属されてJAL精神を叩き込まれていたので、私のJAL人生も成田空港のチェックインカウンターからスタートしました。その後、国際予約課での予約業務、本社営業企画部での東南アジア戦略や大阪支店営業を経て、1999年から6年間人事部に配属。その後、一度人事部を離れますが、経営破たんの前年09年に人事部長として人事部に戻り、10年の経営破たん時にはリストラ計画などに明け暮れました。その後、多くの先輩たちが会社を去る中、10年12月、執行役員に任命されました。

 そして今年4月、50歳過ぎにして念願の海外駐在として北京に赴任。海外滞在経験は30年前のブラジル留学以来でした。手紙が届くのにも2週間かかった当時に比べれば、飛行機なら北京と羽田は3時間、今は通信手段も多く、当時のような不安感はまったくありません。中国が低成長期に入ったとは言っても、年7%の経済成長率と「成功したい!」とチャレンジする人の多さから、日本にはない社会全体や人々からの活気を感じます。またなにより、駐在してよかったのは、日本で働いていたらお会いできないような、多種多様な業界の方々にお会いできる点。着任早々任命された日本人会会長の行事も楽しんで参加しています。


JALフィロソフィの実践


 2010年からの3年は2次破綻がないよう、何が足りなかったのかを見つめ直し、社会やお客さまに経営再建してよかったと喜ばれるように、努めてまいりました。破たんを機に路線を絞りましたが、足場をしっかり固めながら利益を出す経営にシフトチェンジしたことで、今また新たな路線を検討する段階にきています。

 弊社には稲盛和夫名誉会長にご指導頂き、作った40項目のJALフィロソフィがあります。内容は「美しい心をもつ」「一人ひとりがJAL」など、ユニバーサルかつ道徳的で普遍的なもの。社員全員がこの考え方をベースに、企業理念にある、全社員の物心両面の幸福を追求すると共に社会の進歩発展に貢献していくこと。これこそ、日本流や中国流ではなく〝JAL流〞。派手さは求めず、日々こつこつと謙虚に努力し、軌道に乗っても慢心しないことを常に意識しています。

 自身の座右の銘である、中国の歴史書「後漢書」の「貧賎の知は忘るべからず、糟糠の妻は堂より下ろさず」と、儒教の荀子の言葉「公は明を生じ、偏は闇を生ず」のように、どんな立場になっても正々堂々と努め、苦しい時に支援してくださった多くの皆さまへの感謝の気持ちを忘れずに、今後も地道な努力を続けていく所存です。



現在、北京支店は発展大廈事務所に20名、空港に40名の合計60名のスタッフが勤務。3カ月に1回2時間のフィロソフィ研修を実施中。個室ではなく開かれたオフィスで気軽に対話できる職場環境作りを意識しています


PROFILE

えりかわ むねみつ

1960年生まれ。群馬県出身。1985年東京外国語大学ポルトガル語科卒業後、日本航空に入社。空港のチェックインカウンター、国際予約課、営業企画、東南アジア戦略、大阪支店などを経て2009年人事部長に。10年12月役員となり、13年4月より現職。趣味は読書(中国歴史小説)、空手とエッセー執筆。


江利川さんを知るキーワード

中国歴史小説が大好き

特に、宮城谷昌光さんが好きです。「奇貨居くべし」や、「花の歳月」、1番好きなのは、人が人生を見事に生きる、とはどういうことなのかを主題にした「楽毅」です。


稲盛さん抜きには語れない


2010年、会長として無給で再建を引っ張った稲盛和夫さんには多大な影響を受けました。北京支店でも、社員有志で月1でフィロソフィ勉強会(コンパ)を実施。



週末は空手に精を出す



自ら指導者を務める北京日本人会所属の「北京健康空手同好会」をこの9月より始動。30歳からはじめた空手は黒帯2段。毎回10~20名の老若男女が稽古に励んでいますよ!



日本航空公司 北京支店
北京市朝陽区東三環北路5号
北京発展大廈1516室
℡(010)6590-9802
www.cn.jal.com


日本航空公司

電話 010-6590-9802

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