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商標に関する紛争および訴訟の紹介(5)

商標専用権は絶対的なものではなく、他人が登録商標の中の要素を正当に使用できる場合もあります。

新「商標法」では、登録商標専用権の行使を制限する規定が設けられています。


商標法は、登録商標には商標専用権があると定めています。ただし、この専用権は絶対的なものではなく、他人が登録商標の中の要素を正当に使用できる場合もあります。正当に使用するとは、事業者が自らの提供する商品またはサービスに消費者が識別しやすいよう説明を加えるために、他人の登録商標に包含されている情報を法に従い登録商標権者の許可を得ずに使用することを指します。新「商標法」第59条は、登録商標専用権の行使を制限する規定です。


1)一般名称が含まれている場合

新「商標法」第59条第1項は、「登録商標に含まれる当該商品の一般名称、図形、型番もしくは商品の品質、主要原料、機能、用途、重量、数量およびその他の特徴を直接表す内容、または含まれる地名について、登録商標専用権者は他人の正当な使用を禁止する権利を有しない」と定めています。


2)立体商標の専用権の制限

新「商標法」第59条第2項は、「立体的形状の登録商標に含まれる商品自体の性質により生じた形状、技術的効果を得るために必要な商品形状、または商品に実質的な値を持たせる形状について、登録商標専用権者は他人の正当な使用を禁止する権利を有しない」と定めています。


3)既存の商標の継続使用

新「商標法」第32条は、他人が先に使用している一定の影響力を有する商標の悪意の抜け駆け登録を禁止すると定めています。すなわち、商標登録の出願にあたり、他人がすでに使用している一定の影響力を有する商標を不正な手段により抜け駆け登録することはできないとされています。そして、新「商標法」第59条第3項は、「商標登録者が商標登録を出願する前に、他人がすでに同一種類の商品または類似商品に
商標登録者よりも先に登録商標と同一または類似し、かつ一定の影響力を有する商標を使用している場合には、登録商標専用権者は、当該使用者がもとの使用範囲で当該商標を継続して使用することを禁止する権利を有しないが、その者に適切な区別標識を加えるよう要求することができる」と定めています。この規定は、先に使用されていた未登録商標に一定の保護を与える一方で、かかる保護に対する制限も設けています。つまり、先に使用されている未登録商標は、登録商標よりも先に使用されている一定の市場影響力を有する商標でなければならないとしています。実務においては、先に使用していたと主張する側が、既存の商標の「使用行為」が中国国内で発生したことおよび「市場への影響の程度が比較的高いこと」を証明しなければなりません。そして、「市場への影響の程度が比較的高いこと」を証明するのはやや困難で、既存の商標が一定の期間、地域において継続的に使用されていたことを証明するほか、その商品の販売数量および広告宣伝の実施の程度等も証明しなければなりません。さらに、先に使用していた未登録商標を継続して使用できるのは、もとの使用範囲内に限定されています。よって、商標登録権者が登録商標を出願する前の時点ですでに確立されている使用地域、販売数量の範囲内で使用しなければならないということになります。将来に向けて販売地域および販売数量をみだりに増やすことはできません。最後に、登録商標専用権者は、先使用の未登録商標に適切な区別標識を加えるよう要求することができます。

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