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商標に関する紛争および訴訟の紹介(12)

商標の権利侵害紛争に関する訴訟は、おおまかに(1)訴訟前手続(財産保全の申立て等)、(2)提訴(訴訟文書の提出)・受理(登記届出の手続)、(3)法廷審理・判決の流れになります。


(1)訴訟前手続

商標登録権者または利害関係人(以下、「権利者」)は、その登録商標の専用権が侵害されていることを知った場合、管轄法院(知的財産権法院、または知的財産権審判庁が設置されている法院)に以下の申立てが可能です。
①訴訟前財産保全手続:申立人は、法院に申立書を提出し、被申立人の住所および被申立人の財産の手がかり(銀行口座番号、動産および不動産の情報等)を提供するとともに、有効な担保を差し入れなければなりません。

②訴訟前証拠保全手続:法院に対し、申立書および当事者間に申立人の主張する民事関係が存在することを証明する初歩的証拠を提出する必要があります。
③訴訟前差止:申立人は、申立書、申立人の権利証明、被申立人の権利侵害行為の実施に関する証拠の提出とともに、有効な担保を差し入れなければなりません。


(2)提訴・受理

管轄法院の立件廷に以下資料を提出します。
①訴状(正本および被告と第三者の人数分の副本)
②証拠(原本または人民法院による照合確認済の写し)
③原告および被告の訴訟主体資格の証明書
 民事訴訟法の改正に伴い、中国の法院は2015年5月1日より登記届出制度をスタートしています。これにより、原告の提供する訴状と証拠が「民事訴訟法」第119条の形式要件に関する規定を満たしている場合、法院は必ず立件し受理することが義務づけられました。


(3)法廷審理・判決

管轄法院は、

①原告に対し、受理通知書を送付後、訴訟費用納付通知書を送付します。原告が訴訟費用を納付後通常二週間以内に、法院は訴状の副本と証拠の写しを被告に送達します。
②被告は、送達を受けてから15日以内に答弁書(または管轄異議申立書)を提出します。法院は、それを受領後二週間以内に答弁書の副本(または管轄権異議申立書)を原告に送付します。
③一般的なケースでは、法院は被告に証拠申出に関する通知書を送付し、30日間の証拠申出期間を被告に与えるとともに、証拠交換を行う旨を原告と被告に通知します。なお、原告は法院が訴訟を受理した後も、財産保全、証拠保全などの申し立てが可能です。証拠申出期間が満了すると、法院は通常証拠交換を主宰し、法廷の主宰の下、原告と被告は証拠の申出および証拠に対する質疑を行います。
④証拠の交換終了後、法院は開廷の期日と場所を当事者に通知します。また、公開審理事件であれば事前に公告をします。
⑤開廷審理は、法廷調査 ↓ 当事者による法廷弁論 ↓ 当事者による最終陳述(最終代理意見の提出) ↓ 法廷による調解、と進みます。最後に、法廷が期日を定めて判決を言い渡します。
⑥法院の判決が法廷で言い渡され、または当事者に送達後、当事者は15日以内に一級上の人民法院に上訴が可能です。法定期間が経過し、当事者が上訴を提起していなければ、判決は効力を生じます。
⑦判決書の効力発生後、当事者は判決書で確定された義務を進んで履行しなければなりません。履行期限を過ぎても義務が履行されないときは、権利者は法院の執行廷に強制執行を申し立てることが可能です。


張 継文 律師 パートナー
北京中諮律師事務所
zhangjiwen@zhongzi.com.cn

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