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商標に関する紛争および訴訟の紹介(9)

新「商標法」によると、他人の登録商標専用権を侵害した場合は、さまざまな法律上の責任を
負わなければなりません。主なものは、行政責任、民事責任、刑事責任です。


(1)行政責任を負う場合
新「商標法」第60条第2項によれば、工商行政管理部門は、権利侵害行為の成立を認定した場合、侵害行為即時停止を命じ、権利侵害商品および主に権利侵害商品の製造、登録商標標章の偽造に使われる道具を没収し、処分するものとされており、違法経営額が5万元以上の場合は、違法経営額の5倍以下の過料に処することができ、違法経営額がなく、または違法経営額が5万元未満の場合は、25万元以下の過料に処することができるとされています。
新「商標法」では、「違法経営額」が、旧「商標法実施条例」における「非法経営額」の3倍からの5倍に引き上げられています。また、違法経営額を計算できない場合についても、過料の金額が、旧「商標法実施条例」における「10万元」から「25万元」に引き上げられています。これらの措置は、違法行為の抑止につながると考えられます。


(2)民事責任を負う場合
新「商標法」第60条第3項は、「商標専用権侵害の賠償金額の紛争について、当事者は処理を行う工商行政管理部門に調解を請求することができ、『中華人民共和国民事訴訟法』に基づき人民法院に提訴することもできる。工商行政管理部門の調解を経て、当事者が合意を達成せず、または調解書の発効後に履行しない場合は、当事者は、『中華人民共和国民事訴訟法』に基づき人民法院に提訴することができる」と定めています。この規定からみると、工商行政管理部門は、商標権侵害行為について行政処罰を行うことができますが、民事賠償に関しては調解を行うことしかできません。そして、調解が成立しなければ、当事者は賠償を受けることができませんので、民事賠償を受けるための最終手段は、民事訴訟という法的手段になります。このように、商標権侵害事件における主な民事責任負担方式は侵害停止と損害賠償です。新「商標法」第63条によれば、商標専用権侵害の賠償金額は、「実際の損失」に基づいて確定されます。また、「実際の損失」を確定することが難しい場合は、権利侵害によって「得た利益」によって確定することができ、「実際の損失」と「得た利益」のいずれも確定することが難しい場合は、当該商標の使用許諾料の倍数を参照して合理的に確定するものとされています。なお、賠償金額には、権利侵害をとめるために支払った合理的な出費を含めることができます。人民法院は、賠償金額を確定するために、権利侵害者に対し、関連する帳簿、資料の提供を命じることができます。また、上述した要素のいずれも確定することが難しい場合は、人民法院は、権利侵害行為の情状に基づき判決で300万元以下の賠償を命じることができるとされています。
このほか、新「商標法」第65条および第66条によれば、商標の権利者は、訴訟提起前に、人民法院に対し、関連行為停止命令、財産保全、証拠保全の措置を講じるよう申し立てることもできます。


(3)刑事責任を負う場合
新「商標法」第67条および「刑法」第213条から第215条までの規定によれば、商標にかかわる主な犯罪としては、
(1)登録商標冒用罪、(2)登録商標標章不法製造、不法製造登録商標標章販売罪、
(3)登録商標冒用商品販売罪、が挙げられます。




張 継文 律師 パートナー
北京中諮律師事務所
zhangjiwen@zhongzi.com.cn

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