キーマンインタビュー

香港ヤマト運輸株式会社 
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香港ヤマト運輸株式会社 

取締役社長 八幡健氏

消費者ニーズを捉え

業種を超えた企業協働で

ビジネスモデルの構築を


日本国内の物流の最大手であり、「宅急便」の名で広く親しまれている同社が、昨年「国際クール宅急便」を始動。今後、アジア圏を舞台に担う海外戦略に迫る


日本国内では、同社の「宅急便」が「宅配」の代名詞になるほどの認知度があり、サービス産業生産性協議会が主催する「JCSI(Japan Customer Satisfaction Index)」では、調査開始から6年連続で、「顧客満足度1位」の功績を誇る同社。また、2013年10月より「国際クール宅急便」が始動され、アジアマーケットへの進出にも注目が集まっています。今後、ますますグローバル化が期待される同社の戦略について、今年4月に香港ヤマト運輸株式会社社長に就任されたばかりの八幡氏にお伺いしました。


物流から見た香港マーケットの価値

 日本で宅配ビジネスに参入し今年で38年を迎えます。私どもは、海外への進出は後発です。最初は10年前の台湾拠点からでした。但し、本格的な進出は2009年のシンガポール、上海からになります。その後、2011年に香港、2012年にマレーシアと現在は6つの国と地域へ拡大しました。やはり、アジア展開する上で、華南地区への拡大は大変重要だと考えています。特に、香港はアジア最大の貿易都市であり、安定した経済成長を遂げ、物流の規制緩和が期待できる背景も魅力です。規制緩和されれば、ますます個人消費の拡大が期待できるはずです。そういう意味でも香港は、キーマーケットであると言えます。


食の安全を届ける「クール宅急便」

 食の安心安全という面で、世界的に日本の「生産者の顔が見える有機野菜」は大変注目されています。その付加価値の高い食材の鮮度を保持し、かつタイムリーに、消費者に届けるためには、調達、保管、配達に至るまで、一貫した「保冷の輸送システム」が必要です。例えば、消費者がネットでオーダーした日本食材が、翌日には国境を越え、香港の自宅に宅配されるという『越境Eコマース』、そんなスピード感とグローバル感をイメージしています。そしてそれを実現したのが、2013年10月に始動した「国際クール宅急便」です。とはいえ、そのシステムは自社だけでは成しえませんでした。香港への「国際クール宅急便」は、日本最南端「沖縄」をハブ空港に、ANA様の協力により実現することができました。沖縄は、24時間稼働する通関があり、アジア圏内のどこからでも約4時間で結ぶことができる魅力を持ってますから。日本国内には、「お取り寄せ」の文化があります。この文化が、世界的な規模で運用される日が近い将来できることを目標にしています。


企業協働で新ビジネスモデルの構築

 日本で成功したビジネスモデルをそのまま海外である香港に移植しようとすると上手く行かないことの方が多いようです。だからこそ、現地の消費者の声、ニーズを捉え、叶える方法を模索していきたいと考えています。当然、物流を担う当社だけでは、できることは限られています。だから、業種を超え、企業の強みを活かし協働することで、より早いスピードで、より低価格で、新しいビジネスモデルを構築できることができると信じています。私たちは、消費者から厳しいご指摘をいただくこともあります。しかし、その一つ一つの声を大切に、よりよい改善案が生み出せるよう積極的に取り組んでいます。最も多い声として、「いつ配達されるか?」という問合せがあります。例えば、コンビニエンスと協働した場合、商品の回収・商品の受け渡し場所とすることで、効率的に回収でき、消費者にとっても、自宅で待機しなくてもいいというメリットが生まれます。また、コンビニエンスも、消費者の来店頻度が高まり、消費UPにもつながります。まさに、win-winの関係が構築できる新しいビジネスモデルの1つではないでしょうか。


地元密着で愛される小さな店舗に

 今年4月に着任した当初は、香港内に4店舗でした。しかし、着任後念願であった新店舗をまだ一店ですが7月にオープンさせることができました。出店を急いだのは、常にお客様に近い距離にあることが大事だと考えているからです。それは、入社当初、配達をしていたドライバー時代に実感したことでもあります。お客様の一人ひとりを把握できるほど、地元に密着した「小さな店」であることが、消費者の満足度を向上させることにつながると考えています。だから、新店の従業員採用は、そのエリアに居住する方から採用しました。さらに、自立した社員を育成するため、一部業務を権限委譲し、責任ある仕事を任せるようにもしています。そうすることで、仕事に対しての取り組み方が変わり、安定した雇用のもと、お客様への向き合い方が向上し、それが自社の品質となっていくと考えています。また、日系企業として果たすべき現地雇用の拡大化も図ることができます。社長室に貼った香港の地図上には、数十店舗に及ぶ未来の「小さな店」をマッピングしています。これから、香港の方々に愛される、香港発のビジネスモデルを考案できるよう、取り組んでいきたいと思います。


国際クール宅急便/日本全国の生産地と香港を直結。高品質、ハイスピードな輸送プラットフォームと、万全の保冷技術で新しい販路拡大をサポートいたします。「お取り寄せ」が世界共通語になる日は、もうすぐ。


PROFILE

八幡 健 (やはた たけし)

1992年1月ヤマト運輸に入社。約8年間のドライバー経験からお客様の声、期待値を掌握。その後、埼玉で営業企画課長、横浜でベース長、長野で主管支店長経験後、深セン、広州で海外市場を調査する事業戦略マネージャーに就任。2014年4月より社長就任し来港される


〈八幡健さんを知るキーワード〉

手料理が並ぶ「部屋パーティ」


料理が趣味で、職場の仲間と自宅で手料理を作って楽しむそうです。写真は、すりおろした大根で器用に白熊をアレンジした絶品「みぞれ鍋」。「料理本を順番に料理したり…、レシピ通りに作る男の手料理ですよ」と几帳面さが伺える一面も


「K-POPの大ファンです!」


特に、少女時代、スーパージュニア、東方神起の大ファンという八幡氏。「8月2日に開催されたコンサートでは、たぶん、会場で一番おじさんでしたね(笑)」と。若者嗜好もしっかりキャッチアップされているようです


マッサージでリフレッシュ!


週一回は必ず来店しているというおすすめは、深センのマッサージ。足と肩の90分コースでわずか56元(日本円で約1,000円)というバリュー価格も魅力の一つ。一週間の疲れを癒し、来週からの鋭気を養う極上の時間を大事にされています


香港ヤマト運輸株式会社

Unit C, 3/F First Group Centre, 
14 Wang Tai Rd, KLN, HK
℡ 2829-2288

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住所 3/F First Group Centre, 14 Wang Tai Rd, KLN, HK MAP
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