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商標に関する紛争および訴訟の紹介(1)

2013年8月、中国の商標法が改正されました。新しい商標法の法律制度およびその紛争解決の実務をご紹介します。


 商標(トレードマーク)は、商品の生産者・事業者または役務の提供者が、生産・販売する商品または提供するサービスに使用し、商品またはサービスの出所を区別する、顕著な特徴のある標識のことで、ブランドと呼ばれることもあります。商標には、文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せおよび音声などが含まれます。


 商標には、商品出所表示機能(識別機能)、品質保証機能、広告宣伝機能の三つの機能がありますが、主な役割は識別機能、すなわち商品およびサービスの出所を区別することです。このため商標には、顕著性という特徴があり、それゆえに、以下の標章は商標として登録することができません。①その商品の一般的名称、図形、型番にすぎないもの、②単に商品の品質、主要原料、機能、用途、重量、数量およびその他の特徴を直接表示したにすぎないもの、③そのほか顕著な特徴を欠くもの。ただし、このような標章であっても、使用されることによって顕著な特徴を有するようになり、識別しやすくなったときは、商標として登録することができます。


 例えば、2001年に小肥羊公司が第42類(飲食サービス)について登録した「小肥羊」商標、および03年に招商銀行が第36類(保険等金融のサービス)について登録した「一卡通」商標は、どちらもサービスの内容および特徴を直接説明したものであると解されます。しかし、関係法院および商標評議審査委員会は、商標出願者による長期間の使用および幅広い宣伝の結果、「小肥羊」、「一卡通」の文字と出願者の間に密接なつながりが確立され、かかる文字がすでに商品またはサービスの出所を識別する役割を果たしており、商標にあるべき顕著性が備わっていると認定し、これらを登録商標として使用することを認めました。


 「商標法」の規定によると、商標局の審査確認を経て登録された商標は登録商標とし、これには商品商標、サービスマーク、団体商標および証明商標が含まれます。そして、商標登録者は、商標専用権を有し、法律により保護されます。なお、商標権は、時間的制限のある権利です。登録商標の存続期間は10年であり、登録が審査確認された日から計算されます。登録商標の存続期間が満了するにあたり、引き続き使用する必要がある場合には、権利者は商標の更新を申請し、商標権の保護期間を延長することによって、長期間使用することができます。


 なお、商標はその認知度によって、「通常の商標」と「馳名商標」に分けられます。「馳名商標」とは、比較的広い地域(例えば全国、世界)の市場で比較的高い信望を有し、関連する公衆に広く知られており、品質に対する信用が良好な商標を指します。例えば、ソニー、東芝、パナソニック等は、いずれも「馳名商標」に該当します。中国の法律は、原則として、中国で登録されていない商標を保護していませんが、立法面で外国の「馳名商標」の保護については、特別な規定を設け、国外で登録されている「馳名商標」を権利者以外の第三者が複製、模倣または翻訳することを禁止しているほか、同一商品または類似商品について登録出願することも認めていません。


 国家工商行政管理総局商標局商標網において公表されているデータによれば、13年の一年間だけをみても、登録商標出願数は1 8 8万1 546件、登録数は99.6万件にのぼります。このように、中国は、すでに名実ともに商標登録大国になっており、商標権侵害事件、商標権帰属紛争事件等も増加の一途をたどっており、法律による保護が喫緊の課題となっています。

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