キーマンインタビュー
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株式会社エスワイフード
会長 山本 重雄氏
最高の組み合わせで
居酒屋文化を広めたい
香港進出は出会いが始まり
「世界の山ちゃん」は1981年に名古屋市内の小さなお店からスタートしました。今では手羽先を名物とする居酒屋チェーンとして、グループ店と合わせて国内に72店舗を構える企業に成長し、今回の香港店は初めての海外進出となります。海外進出をしてみたいという気持ちはあったのですが、同時に、日本でもまだ稼げると思っていたため積極的に世界展開をするつもりはありませんでした。今回香港店出店に至ったのは飲食コンサルタントの方にお声がけいただいたおかげです。ちょうど、東日本大震災以降、日本の経済の低迷により弊社が基本としている直営で新規出店するということが難しい状態が続いていたタイミングでもあったため、香港出店の誘いを受け、可能性のひとつとして検討してみようという気構えでした。昨年の10月にお声がけいただいたのと同時に、めぼしい物件の情報をすぐにメールで送っていただいたのですが、その中に入っていた今回の店舗を気に入り、即決したのがオープンまでの経緯です。
「山ちゃん」のこだわり
弊社の店舗は3階より高い場所には出店しないと決めています。それ以上の高さの場合はお客様をエレベーターで誘導することになりますが、そのような店舗を運営した経験がないためです。今回の物件は地下1階に立地し、弊社が得意とする階層であったことと、広さがちょうど良かったこと、また弊社の特徴でもあるビルを1棟借りして、大きな看板を外に出すということをこの店舗でもできることが決め手でした。昨年の12月に物件の下見のために来港した際、尖沙咀の人の流れを見て、良い土地だと感じることもできました。日本と同じ下地でできる条件が整っていて、後ろ盾となってくれるコンサルタントが「香港は遠い日本だと思えば良い」と言ってくれたことで、香港進出を決意しました。計画や周到な用意はせずに、短期間でトントンと話が進み、今に至っています。
オープン直前に日本から応援を要請
香港は家賃が高く、名古屋店の3倍に上ります。そのため、物件の契約を終えてから最短の日程をオープン日に選びましたが、内装が終ったのがオープン1週間前でした。1週間ではスタッフの教育が十分に間に合わず、急遽日本から応援部隊を10人呼び寄せて対応しました。現在は、日本からのスタッフは店長1名に減らすことができましたが、まだ満足のいく接客ができているとは言えません。例えば、料理をだまって途中で下げてしまうことは香港ではよくあることと聞きますが、お客様の中で一人でも気になる人がいたら駄目だと思うんです。単に料理を香港に持ってくるというのなら誰でもできることなので、大変ですが妥協せずに細かい接客部分についても追求していくべきだと思っています。
名古屋料理というジャンル
香港の山ちゃんで提供している料理は日本と同じ味付けで提供しており、香港向けに調整などはしていません。ただし、メニューを日本とは変えています。香港の方はお刺身が好きなので、お刺身を強化したことと、食事もののバリエーションを増やし、日本ではやっていない名古屋名物のひつまぶしや、味噌煮込みうどんを加えて「名古屋料理」として売り出しています。また、高い家賃との兼ね合いで日本のよりアッパーなグループ店「山」からのメニューもここで提供しています。そのため、日本のお店に行かれたことのある方は比較すると少し高く感じるかもしれません。
居酒屋文化を広めるために
お客様の層は日本と大きな変わりはありません。ご家族での食事、仕事帰りのビジネスマンの飲み会、女子会などでご利用いただいております。おかげさまで現在は毎日ウェイティングが続いている状況ですが、オープンしたばかりでメディアにも大きく取り上げていただいたからだと思っています。もう一回行ってみようと思ってもらうことが大事です。将来的には、日本のようにオープン契機以外で取材をしていただいたり、タイアップ企画をしていけたらと思っています。そして、現在はお刺身を食べながらお茶を飲む香港のお客様方が目立ちますが、手羽先とビールの最高の組み合わせの魅力を感じてもらえたらと思います。香港の方の習慣として、食事するお店とは違う場所でお酒を飲むと言いますが、そう決め付けずにここで3時間居座ってもらい、日本の居酒屋でお客さんがそうするようにぐだぐだと飲むということをやって欲しいですね。1号店が成功したら食材の輸送コストなどを考えて3店舗くらいまで増やし、また、香港のお店だけで利益を出せるようになればタイや台湾にも進出していきたいと思っています。
レジ横には日本の店舗同様、「世界の山ちゃん」グッズを販売するコーナーが。Tシャツやお菓子、ふりかけなどが並ぶ。縁日のようにくじ引きを行っているのもお客様に喜んでもらうためのアイディア。
PROFILE
やまもと しげお
1956年岐阜県生まれ。岐阜県立武義高等学校卒業後、海上自衛隊に入隊し調理班に所属。21歳の時に、福富太郎著『あなたも一億円貯められる』を読み、感銘を受け退官。24歳で「串かつ・焼き鳥 やまちゃん」を開業。その後、「幻の手羽先」を看板メニューにした「世界の山ちゃん」を展開し大ヒット。現在、国内で72店舗を経営。
<山本さんを知るキーワード>
朝のスターバックス
香港出張の際はほぼ毎朝スターバックスコーヒーに立ち寄っています。ブラックコーヒーが好きなのですが、香港式のカフェなどで注文するとミルクと砂糖がすでに入ったものが出てきてしまうので、安心できるスタバに通います。
座右の銘「立派な変人たれ」
我が社の目指すところでもあり、弊社のクレドにも乗せている言葉です。一人ひとりがユニークであることは大切なことです。人との差別化にもなるので、社員にこう呼びかけていますが、変人になるということは意外と難しいんです。
仕事に生かすための趣味
仕事に生かせればと思い、いろいろな趣味を持っています。手品を学んだほか、陶芸もやりました。手作りお猪口をお店で販売したり、プレゼントしたりしています。手羽先のデザインがポイントです。最近ではアコースティックギターを始めました。
Sekai no Yamachan
B/F, Cameron Centre, 57-59 Chatham Rd South, TST, KLN
℡2723-9038
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