キーマンインタビュー

株式会社馬印
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株式会社馬印

代表取締役社長 加藤 泰稔氏

良きパートナーとともに  上質な「書きコミュニケーション」を世界へ届ける


今年で120周年を迎えるチョーク製造販売の老舗・馬印。香港を皮切りに世界に向けて動き出す同社に、電子化とともに進化する商品と今後の展望について伺った。


「書いて消す」を極めて120年


 馬印は明治29年(1896年)私の曾祖父・加藤杉太郎によって創業されました。学校用チョークの製造および販売から始まり、黒板やホワイトボートなど製造に業務を広げ、おかげ様で今年120周年を迎えることができました。現在では、ホワイトボード、黒板、掲示板、案内板、チョークなど、2000種類以上の「情報伝達商品」を自社工場で一貫して製造、販売、施工、メンテナンスを行っています。
 当社は、高い品質と丁寧なサービスでお客様に満足度いただけるよう常に尽力しています。百余年にわたって培ってきた職人技と半永久に消えない「レーザー罫引システム」など、伝統と最先端技術の融合により品質に定評のある商品をお届けしています。また、施工にはできる限り当社の技術者を立ち会わせたり、お客様のニーズに合わせたカスタマイズ製品の対応など、サービス面でも最善を尽くしています。
 創業から120年経ち、世界は大きく変化しました。ICT(情報通信技術)が発達する中、伝統的な黒板やチョークの生存空間が懸念されていますが、「書いて消す」という文化はこれからも根強く生き残るものだと考えています。当社では、社会のIT化に伴いハーレーション(強光が当たった部分の周囲が白くぼやける現象)を抑えた、映写対応可能なホワイトボードや電子黒板などの開発・製造にも積極的に展開しています。時代と共に前進しながら、これからも「書いて消す」を極めて行く所存です。


オリジナル商品で勝負


 情報伝達商品の業界は日進月歩に変化する世界です。その中で他社との差別化を図るには、独自のユニークな商品で勝負しなければなりません。そのため、当社の商品開発はオリジナリティを非常に重視しています。
 例えば、昨年商品化したホワイトボード用の書道セット「筆タッチ」は、ホワイトボードに筆で書き込め、消せるという商品です。書道の授業はもちろんですが、ご案内板の書体の選択肢も増えることでしょう。「筆タッチ」のアイデアは、「黒板アート」からきました。従来のホワイトボードマーカーはチョークのように濃淡をうまく表現することが難しいと考えました。「ホワイトボードでも黒板アートのように自由自在に表現できたら」という想いで同商品を開発しました。
 現在商品化されているのは黒インキの商品のみですが、試作品は水彩画のような作品を書き出せるまでになっています。今後は、筆や色の種類のラインナップをさらに充実させていきたいと考えています。


良きパートナーとの巡り合い


2005年頃から、大連、北京、広州、香港などの見本市に単独で出展するようになりました。最終的に香港の「東興行」に委託しています。「東興行」の呉社長とは、香港の文房具見本市で知り合いました。当社の商品を気に入ってくださり、何よりも真摯な姿勢に打たれお付き合いを始めました。
 「東興行」のスタッフは実に当社の商品をよく勉強し、非常に上手に販売してくださっています。例えば、小型ホワイトボードの「六角ボード」は、お子様を持つ家庭にターゲットを絞ったことで、販売が一気に順調になりました。
 また、香港の教育機関からのお問合せにも丁寧に対応してくれるおかげで、香港の小学校「啟基学校」の黒板貼り替え工事をお手伝いさせていただきました。そして、香港科技大学の講義室にて香港最大級の9mホワイトボードの取り付け依頼も引き受けており、現在工事を進めているところです。香港でこうした展開ができるのも「東興行」のお力があってこそだと考えます。良きビジネスパートナとして今後もお付き合いしていきたいと願います。


世界に向けて新たなスタート


 香港での販売ルートのほか、「東興行」とは昨年の8月に、中国の企業間取引サイト「アリババ」で世界に向けての業務開拓も始めました。英語がネックで、今まではグローバル販売になかなか手を出せずにいたのですが、今は心強いパートナーがいます。この1年間ですでに、欧米諸国やアフリカからチョーク・ホワイトボードに関するお問合せを多数受けています。中でも驚いたのは、欧米教育機関(特にアメリカ、スペイン)のチョークに対する需要の高さです。
 恥ずかしながら、当社の今の設備規模では世界のお客様の依頼に全てお応えすることができません。しかし、これからは世界に目を向けどんどん仕事を引き受けていきたいと考えます。それに向けて現在、3年越しの設備投資を実行しています。当社の商品を選んでくれた世界のお客様の期待にお答えする能力を身につけ、120年間守り続けた品質と切実なサービスをお届けできるようになるのが、現在の一番大きなプロジェクトだと考えます。



香港の文房具見本市をご縁に知り合った加藤さん(左)と「東興行」の呉社長(右)。互いの理念に共感し合い、今では馬印の商品を、香港や世界に向けてアピールしてくれる良きビジネスパートナ-。


PROFILE

かとう やすとし

愛知県名古屋市出身。株式会社馬印の4代目社長。大学卒業後、同社クライアントであるオフィス家具の販売先で3年間修業を積み、クライアントの需要を現場から学ぶ。その後、経営について1年間学び、1994年に入社。同社では、営業を担当。2002年に代表取締役社長として就任し、現在に至る。


加藤さんを知るキーワード

忘れがたいコンゴの旅


慶応義塾大学の「コンゴAcadex小学校プロジェクト」に協力し、チョーク造り研修や制作機械を提供した加藤さん。2015年に3泊5日の弾丸旅行で訪れたコンゴ民主共和国キンシャサ市では、現地のチョーク工場とも交流でき、忘れがたい旅となった。


毎年恒例の玄達瀬釣り


毎年6月~8月の釣り解禁期には社員とともに福井県・玄達瀬に出かけるのが恒例。「大きな魚が釣れる穴場です。毎年誘ってもらえて、とても嬉しいです」と話す加藤さん。6月香港へ旅立つ直前にも参加。今年は残念ながら不漁だったとのこと。


迫力溢れる沙田競馬場に魅了


「日本でも競馬場には行ったことがありません」という加藤さんが、沙田競馬場で競馬初体験。天候にも恵まれ、「こんなに気持ち良く馬が見れるなんて」と大満足。馬券を買ったり、どの馬にするか悩んだりしたのも新鮮で、楽しいひとときを満喫した。




株式会社馬印

住所 名古屋市中川区山王三丁目16番27号
電話 +81-(52)-322-2811

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