キーマンインタビュー

フレキシブルに働く 新しい仕事のカタチを応援

「レンタルオフィス」を新たな事業として立ち上げたチャンさんが、フレキシブルな新しい仕事のカタチと、その可能性について話してくれた。

香港に見た新しい仕事のトレンド

　私の家族は、父の代から60年間ビジネスをしてきました。父親は電気製品の販売、兄は中国本土で車輛販売をしています。私自身も、2015年にレンタルオフィス「Crown Business Centre」を立ち上げました。
　グローバルな不景気に加え、香港では人件費の増加が見られます。そのため、今まで以上にフレキシブルな働き方へのニーズが高まっています。レンタルオフィス事業を始めたのも、3つの新しい働き方のトレンドが見えてきたためです。まずは、企業のダウンサイジング。人件費節約のため、仕事をアウトソーシングし、規模縮小を図る企業が増えています。次に、中小規模のスタートアップ企業の増加。リストラで職を失った者や縛られない働き方を求める若者たちが小さいながらも、自分たちの事業を立ち上げています。そして、幸いながら、国際性や情報流通の便利性から、今でも多くの企業が香港への進出を試みています。これらのビジネスに共通するニーズが、少人数でも対応してくれ、融通が利く「レンタルオフィス」や「バーチャルオフィス」だと考えます。その需要にお応えする、「Crown Business Centre」は開業して5カ月ですでに半数以上のオフィスを貸し出しました。

「フレキシブル」が成功のキーワード

　「Crown Business Centre」は現在、幅広い業種のお客様にご利用いただいています。保険ブローカーの臨時オフィスや、ウェブデザインやIT関連のスタートアップ事務所として使用していただいているお客様もいます。中には、オフィスの雰囲気を気に入ってくださり、すぐ契約してくれた日本人のお客様もいました。そして、自宅から働いている方には、「バーチャルオフィス」という選択肢も。レンタルオフィスだからといって、お客様の仕事環境に妥協したくはありません。9割以上のオフィスには窓があり、デスクも広々と使えるものを選びました。清掃サービスも毎日提供しています。お客様が気持ちよく働ける、整備に行き届いた環境を常に心がけています。
　レンタルオフィスの成功には、立地や雰囲気、サービスも大切ですが、一番重要なのは「フレキシブルに対応できる」ということではないかと思います。弊社のオフィスは自己所有物件ですので、安定した契約を提供でき、ちょっとしたことなら相談していただければ臨機応変に対応します。そして、問題が発生した場合すぐに対応ができるという自信もあります。前回も、急遽会議室をレンタルしたいお客様がいましたがその日は満室でした。そこで、ビルにある別室を提案したところ、先方も受け入れてくれ、スケジュール通りに会議を開催することができました。さらに、弊社の受付サービスは週5.5日提供しているほか、営業時間外の対応も相談可能です。フレキシブルに働くお客様には、フレキシブルなサービスで応えたいと考えます。

オフィスから小さなコミュニティへ

　「Crown Business Centre」には、お茶・コーヒーとスナックを提供する共同パントリーがあります。今後は、その空間でちょっとした集まりやパーティを定期的に開催したいと考えています。レンタルオフィスを利用してくださるお客様がひとつの小さなコミュニティになれたらそれに越したことはありません。長年の経験ですが、ビジネスは結局人と人のつながりです。ここで、異なる事業を育むお客様がお互いを知り、支え合い、そこから新たな商機が芽生える、そんなビジネスセンターを目指しています。

PROFILE　

Kenny Chan（ケニー・チャン）

香港出身。17歳でカナダへ渡り、27歳に帰国し、その後コンサルティング会社に8年勤務する。2003年、家族事業のひとつであるレストラングループ「椰林閣」に専念し、徐々に規模を広げる。2013年に財務会社を設立、2015年に新たな事業・レンタルオフィス「Crown Business Centre」を立ち上げる。

幼い頃の長女との大切な一枚

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