キーマンインタビュー

Mascot Star Limited

Managing Director　山口富士子さん

九州料理を香港からヨーロッパへと届けたい!!

九州田舎料理「吉」を23年間経営し、日本料理店のコンサルタントとしても精力的に活躍をする山口さんに、そのエネルギーの源を伺った。

九州の大皿料理で勝負！

　九州田舎料理　「吉」をオープンする為に香港に来たのは1993年になります。当時、香港の日本料理店は数えるほどしかなく、本格的な店はさらに稀なものでした。シンガポールから香港に出張したある晩、日本食を求めて当時香港で評判の店に期待して行きましたが、味、接客と共に満足できず、残念な思いの中「私の愛する故郷九州の味と大皿料理、日本のサービスがあれば」とひらめき、九州田舎料理「吉」が生まれました。九州独特の味付けの大皿をカウンターに並べ、お客様が料理を見て楽しんで選べる居酒屋を目指しました。23年間はあっという間に過ぎ、山も谷もある中お客様のご愛顧も賜り、また素晴らしいスタッフにも恵まれ、「吉」は現在も経営を続けさせて頂いています。

アイディアと環境が成功の鍵

　日本料理店のコンサルティングに携わってから数多くのお店を見てきました。海外で成功する日本料理店は、基本的ではありますが「日本人と現地の人に親しまれ、信頼出来るスタッフがいるお店」だと考えます。また、他店では味わえない料理・店のオリジナルティや雰囲気も重要だと思います。例えば、シンガポールで手掛けた和食店では、現地で入手できない日本酒銘柄を揃え、定番料理に加え九州の料理を提供したところ、たちまち話題となりました。奇想天外大いに結構！新しいアイデアと情報は必要不可欠です。失敗の積み重ねや幅広い分野に興味を持つと、後々自分の原動力と知恵となりました。そして、問題が起きた時は「このくらいで済んでラッキー」と前向きに自分自身に言い聞かせることが今後の糧となり、成長です。

お客様の笑顔と九州魂が支え

　いつでもエネルギッシュに動くには「気合・根性・健康な心身」、そして、長年「吉」をご愛用してくださるお客様の支えがあったからこそです。「商売は利益を上げてこそが商売」ではありますが、利益ばかりを追い続けると23年間の継続は無理だったかもしれません。子育てに専念した私が店に復帰したのはこの4年ぐらいです。当時、「吉」の総料理長でした故人石伏氏が（元主人ですばらしい腕を持つ料理人でした）病で日本に帰国することになり、お店に対する不安が押し寄せる中、「そうたい！私の味の店なんやけん私が料理長になればよか！」と九州女のエネルギーが沸き起こり、カウンター、厨房、サプライヤーのオーダーまでこなし良い経験を積みました。現在は2人の日本人料理人が腕を振るっています。開店前には大きな声で挨拶し、スタッフと自分自身に気合を入れ「気配り・目配り・心配り・笑顔」をお客様に提供できるようこれからも努めていきたいと思います。

香港に続きヨーロッパに九州の味を

　昨年の10月に、フランス人、華僑の長年の友人達3人で焼き鳥バー「梵」（Yakitori Bar Bon）を開店しました。オリジナルメニューと当店で直輸入したこだわりの日本酒、日本各地で厳選された食材の焼き鳥とモダンな空間が楽しめるお店です。また、今年はマドリード、プラハ、フランスにて日本料理店のコンサルタントの依頼を受け、今年はヨーロッパに挑戦してみたいと考えています。長年飲食店を経営してきて、いろいろな問題に遭遇しましたが、信頼するスタッフ達に恵まれ、この2～3年は心に余裕ができ、夢を実現する一歩を踏み出すチャンスに出会いました。新たにヨーロッパに挑むチャンスを与えてくれたスタッフ、そしてヨーロッパ進出に夢を抱き集まってくれた新たな仲間に心から感謝しています。

PROFILE　

山口　富士子（やまぐち　ふじこ）

長崎出身福岡育ち。1992年に日本の通販会社の香港オフィスを設立。「香港でもサービスの行き届いた本場の九州の味を」という想いから「吉」を開店。シンガポール、日本で数々の日本料理店、ラウンジのマネージメントやコンサルティングをこなし、2015年10月に焼き鳥バー「梵」（Yakitori Bar Bon）をオープン。