キーマンインタビュー

康泰旅行社
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康泰旅行社

董事長 黄 士心氏

多様なニーズに応えた旅行サービスを香港と世界に向けて提供


1966年設立、香港で最も歴史が長い旅行社のひとつである康泰旅行社。何代もの香港人の旅をサポートしてきた同社のサービス理念と今後の展望について伺った。


香港とともに成長した旅行会社

 康泰旅行社は1966年から香港の人々に旅行サービスを提供してきました。今年で50周年を迎えます。香港経済の山と谷をともに経験し、まさに香港社会と一緒に成長してきたといえます。香港の旅行業界も、香港の方々の旅行の仕方も、この半世紀で大きく変化しました。
 60年代に旅行サービスを楽しめるのは、相当裕福な方でした。それこそ空港で10人がかりで見送りをするような重役たちばかりです。一般の方は、努力して貯金し、一年にやっと1回海外旅行ができるようなものでした。
 今は、誰もが簡単に海外旅行ができる時代です。普通の家庭でも、年に数回旅行に出ることができるようになりました。それに伴い、お客様のツアーに対する要望も大きく変わりました。以前は、海外旅行のチャンスがめったにないため、皆さん旅行のために長い休みを取ります。「ヨーロッパ10カ国」や「台湾横断の旅」など、なるべく多くのエリアが回れるツアーが人気でした。今では、海外旅行が簡単に叶うため、週末や3、4連休を利用して旅行する方が増えています。そのため、多くの場所を見るより、一つの場所をじっくり楽しみたいという要望のお客様がどんどん増えています。

デパートのように豊富な選択肢を

 当社が最も大切にしているのはサービスのバラエティです。「デパートのような旅行会社になる」ことが当社の目標です。どれか一種類の商品を取り扱う専門店ではなく、1本の針からベッドまで買うことができるデパートのように、お客様が各自のニーズに合った旅行サービスを見つけることができる旅行会社になりたいと考えます。
 現在、当社では幅広い旅行サービスを提供しています。ツアーは、世界各地の路線を用意しており、個人で参加できるものから企業向けのMICE、学生向けの遊学ツアー、オーダーメイドツアーと様々です。また、個人のFITを好むお客様向けには、航空券、交通パス、ホテルの手配も承っています。そのほか、海外ウェディングや近年人気が上昇しているクルーズ旅行のプランなども用意しています。
 相談にいらしたお客様が、自分に合う旅行プランを必ず見つけることかできるようスタッフ一同日々尽力しています。

日本インバウントの取り組み

 当社は30年前より日本ツアーを組んでいます。当時、海外旅行といえばシンガポール・タイ・マレーシアがメジャーでした。日本は物価が高いため、他所の値段の2倍ほどの高級なツアーをメインに提供していました。今では、日本への旅行は一般的になりましたが、日本は安全性と良質なサービスで昔から香港の方々に好まれている旅行先です。
 訪日インバウンドのほうでも、当社は40、50年前から日本政府観光局(JNTO)と協力してきました。取材、撮影の手配やTV番組の収録など取り組んでいます。以前当社が「ミス香港」コンテストのスポンサーをしていた頃、候補者たちを沖縄や北海道、長崎のハウステンボスに連れていきTV収録をしたこともあります。その結果、ハウステンボスのツアーが大ヒットしたのを覚えています。
 また、毎年安田記念のタイミングで、競馬ツアーを開催しています。香港の馬を日本に連れて行ったこともありました。そのほか、不定期で「グルメ家と行く美食の旅」など、テーマを決めたディープなプランも用意しています。
 1年に何度も日本を訪れる香港の方々は、従来の王道スポットでは満足できません。どんどんニッチな旅行スポットを求めています。当社としては、その需要に合う旅プランを作っていきたいと考えます。

中国市場への展望

 当社は、1992年に深セン支店を設立しました。そして、1999年には広州に中港合資の旅行会社を設立しました。現在でも当社は中国本土で唯一海外送客が認められている香港の旅行会社です。
 旅行業界でよく言われている「旅行業は先進国では目立たない業界だが、そうでない場所では先進業界である」という言葉がありますが、まさにその通りだと考えます。香港の旅行市場は相当成熟しています。それに比べれば、中国本土にはまだまだ未開のマーケットがあります。
 中国への進出は一定の挑戦も伴いますが、当社には、長年積み重ねた旅行のノウハウと優秀人材があります。どんな困難も自ら経験し、解決していくべきだと考えます。今後は、香港で引き続き豊かな旅行サービスを提供していくと同時に、中国本土でのサービス積極的広めていきたいと考えます。種類豊富で充実した旅行サービスで、お客様の生活を豊かにすることが一番の願いです。


経営上の業務をこなす傍ら、自身の旅の経験をもとにした旅行ガイド「旅遊教父黄士心 Travel Guide」シリーズも出版している黄氏。


PROFILE

ウォン シーサム

1968年に家族事業であった康泰旅行社を引き継ぎ、董事長に就任。以来積極的同社の旅行サービスを世界各地に広めていき、マカオ、中国、台湾、シンガポール、タイ、アメリカ、カナダに支店を設立。旅行業のほか、福祉活動にも熱心であり、香港最大の福祉団体「東華三院」の総理、副主席、そして1994年には主席を担当する。


<黄さんを知るキーワード>

京阪神の旅を綴った新書


「旅遊教父黄士心 Travel Guide」シリーズの最新作は、京阪神エリアがテーマ。ご当地グルメをはじめ、個性的な喫茶店・カフェ、ご当地ブランド、家族で楽しめる博物館やテーマパークなど黄氏がおすすめする旅先や穴場スポットが満載。


京都の桜に魅せられ


訪日旅行の中でも、花見シーズンは香港でとびきり人気。数々の花見スポットを歩き回った黄氏だが、中でも「京都で見る桜が一番優雅で、風情がある」と話してくれた。桜を見るなら、FITでじっくり楽しむのがおすすめとのこと。


温泉のお気に入りは有馬


お気に入りのスポットなら何度でも通うという黄氏、有馬温泉はそのひとつである。独特のさび色の温泉がお気に入りで、時間があれば行きたくなる穴場だという。また、近くの魚市場で新鮮な魚介類を堪能するのも楽しみの一つである。




康泰旅行社

住所 5/F, United Centre, 95 Queensway, Admiralty, HK MAP
電話 852-2109-8888

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