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中国著作権法の手引き(2)

中国は日本と同様に著作物について抽象的に定義しているほか、具体的な例も挙げています。今回は中国の著作権法で例示列挙されている著作物について紹介します。


(1)文字の著作物

   「著作権法実施細則」第4条第1号では、「小説、詩歌、散文、論文などの文字の形式で表現された著作物を指す」と定めています。この「文字」の定義は点字、符号の著作物も含まれています。しかしながら、文字で書かれた全ての著作物が文字の著作物となるわけではありません。例えば、筆で書かれた文章の場合、文字の組合せによってアイデアを表現したという観点において、その書は文字の著作物に該当します。一方、文字の芸術性および審美性という視点になると、美術の著作物に該当します。


(2)口述の著作物

  「著作権法実施細則」第4条第2号では、「即興の演説、授業、法廷弁論等の口頭の言語の形式で表現された著作物を指す」と定めています。口述の著作物の最大の特徴は、口頭によって創作されたものであり、いかなる形式にも縛られていないということです。そのため、アメリカなど口述の著作物を保護していない国もあります。

(3)音楽、演劇、演芸、舞踊、雑技芸術の著作物

 これらの種類の著作物は全て芸術的な言語または動作によって著作者のアイデアを表現したものであることから、著作権法ではそれらを同一種類の著作物に分類しています。
 音楽の著作物には、歌詞が付帯した著作物があり、音楽の著作物と文字の著作物にはある程度重なるところがありますが、一般的に歌詞と楽曲が一体となっている場合、音楽の著作物に分類され、歌詞が単独で使用される場合には文字の著作物となります。 演劇(原文は「戲劇/戯劇」)の著作物とは、演劇全体ではなく一般的に脚本・台本を指します。演劇全体は後日紹介する映画の著作物と同様に保護されるかについては、実務において未だ定説が形成されていません。また、これらの種類の著作物については注意すべき点があります。これらの著作物は実演により伝達されなければなりませんが、伝達者が著作権者であるとは限らないということです。例えば舞踊の著作物において、著作権者は振付師であってダンサーではない、ということです。

(4)美術、建築の著作物

   「著作権法実施細則」第4条第8号では、「絵画、書道、彫塑等の線、色彩またはその他の方法で構成される審美的意義を有する平面的または立体的な造型芸術の著作物を指す」と定め、同条第9号では、「建築物または構築物の形式により表現される審美的意義を有する著作物を指す」と定めています。
 右記条文に「審美的意義を有する」とありますが、これは著作物が一定の高度な芸術性に達していなければならないことを意味しているのではありません。審美とは極めて主観的なもので、時代によって審美の基準も異なります。美術の著作物には応用美術の著作物というものがあり、応用美術の著作物はその実用性および量産性から、一般の純粋美術の著作物と同一視できません。その実用的な部分は意匠の保護の範囲に組み入れることができますが、著作権法はその芸術的な面のみを保護し、その芸術的な面について独創性を有しているか否かについてのみ判断を行います。しかしながら、実務において「実用的な部分」と「芸術的な部分」を区別することは容易なことではありません。




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