キーマンインタビュー

香港をゲートウェイに世界へグローバルな視野で
日本品質のサービスを提供

2015年5月に事業を開始したNWBは、香港で実に半世紀ぶりに誕生した、資産運用サービスを提供する金融機関。証券、保険など香港の金融市場の優位性を活用した商品から、日本での不動産投資など、日系金融機関ならではの強みを活かし、資産運用をサポート。今回は、25年間金融や投資事業に携わった取締役兼COOの長谷川建一氏に、香港で事業を発足させた理由や想い、そして、今後の展開について伺った。

香港をゲートウェイに世界のマーケットを活用

  香港は、ロンドンやニューヨークと並ぶ世界三大の金融市場です。この都市には、情報と資金のみならず、トップレベルの人材も集まっています。そして、しっかり手続きを取れば、誰もが参入できるというオープンなマーケットでもあります。アジアの金融ネットワークにしっかりと根付いていながら、グローバルなアクセスも容易にできる、まさに世界へ繋がる「ゲートウェイ」と言っても過言ではありません。2010年に、三菱東京UFJ銀行で勤務していたころ、香港でウェルスマネージメント事業の立ち上げに携わっていました。その時訪れた香港がとても印象的で、「香港でできるグローバルな資産運用をより多くの方々に活用してもらいたい」と言う想いが芽生えました。
　しかし、実際に金融機関を立ち上げるとなると、事業内容の可能性を証明しなくてはなりません。何度も中環にある香港金融管理局には相談に行きました。相当な資本を集める必要がありましたし、「クレイジーだ」と言って相手にもしてくれなかった先もいました。ビジネスプランや資本体制など、設立に必要な条件をひとつずつ満たして行き、実際に申請を出すまで1年半という時間がかかりました。許可が下りるまでさらに1年と4カ月かかって、ようやく開業に至りました。


市場に一番近い場所でサポート

　
　「Global View, Japan Quality（グローバルな視野、日本の品質）」が、当社のスローガンです。香港で保険と証券、日本の不動産投資への支援を中心とした、個人向けの資産運用サービスを提供します。香港をゲートウェイにできる、グローバルな資産運用を、市場に一番近い場所からサポートするのが当社の使命だと考えています。
　日本人の資産運用は、円や日本のものに集中しがちです、かといって、グローバルな資産運用に興味がないわけではありません。実際に、私は月3～4回『香港をゲートウェイとしたグローバルな資産運用』についての講演していますが、そこで、「資産運用に興味津々の方が多い」ということを、毎回実感しています。しかし、言葉の壁や金融慣習の違い、グローバル投資、特に中国投資への不安などが原因でなかなか手をつけられずにいる方が多いのです。そんな不安や障害を取り除くためにも、世界の三大市場のひとつである香港に拠点を置く当社が最新で正確な情報を発信することは、大きな意味を持ちます。現地にいるからこそ、いち早く情報を入手して、鮮度の高い商品を届けることができる、言わば築地の場外市場のようなものです。これからも香港のみならず、香港を中心とするアジア在住の日本人に「Global View」――資産運用をグローバルに行う魅力を説き、「Japan Quality」――日系会社ならではの緻密な仕事、しっかりとしたサービスでサポートしていくつもりです。

香港から日本への投資支援も

グローバル海外資産運用以外に、当社では、香港人向けに、日本での不動産投資の支援も行っています。

近年は、香港の不動産価格の高騰や円安などの影響で、日本で不動産投資や保有を考えている香港人が増えています。当社では、日本の不動産会社や金融機関と提携し、物件探しから、成約、ローン、貸出などのメンテナンスまでをワンストップで提供しています。反響もなかなか良く、、既に東京の物件を成約されたお客様もおります。

　資産運用には、「世界」という大きな舞台があります。一つの地域に留まることより、遥かに多くのチャンスがあります。私は、幸運にも自分がやりたいことに携わっています。香港を中心とするアジア在住の日本人には、香港をゲートウェイに世界のマーケットを活用するきっかけを作り、香港人の方には、日本で投資するという選択肢を示し、資産運用で日本と香港のサポートを行っていけたらと思っています。まずは、期待いただいているお客様に、グローバルな成長に見合うポートフォリオを創るお手伝いに尽力し、香港での事業を固めていきたいと思います。
　
　NWBは、今年4月に香港におけるリストリクテッド・ライセンス・バンクの免許を取得。NWBの親会社の株主でもある日本の新生銀行や東急リバブル、香港のコンボイフィナンシャルとの提携サービスも提供。証券関連サービスは、香港証券当局の認可取得後に開始する予定。今後も、香港で更なる活躍が期待できそうだ。

NWBは、ウェルスマネジメントサービスをワンストップで提供する香港の金融機関。香港人に日本人と、スタッフは顔ぶれもバックグラウンドも多様。若いスタッフも多い活気のある職場で、スタートダッシュに奮闘中。

PROFILE

はせがわ けんいち

京都大学法学部卒業。Citigroup日本及びニューヨーク本店の資金証券部門を経て、2000年、Citibank日本のリテール部門で商品開発や市場営業部門のヘッドに就任。2004年末、東京三菱銀行（現 三菱東京UFJ銀行）に移り、リテール部門マーケティング責任者として活躍。2015年香港にてNWBを創立。名古屋市出身。

＜長谷川さんを知るキーワード＞

香港に来てから始めたトレッキングにはまっている長谷川氏。週末は、緑が多く、景色のいい香港の山へ出かけ、日頃のストレスを解消。

よく食べ、よく飲み、よく笑う

おいしい食事とお酒が大好きな長谷川氏。仲間との楽しい会話や笑いもいいという。「香港はアジアNo.1といっても良いくらい食の街でもあるので楽しんでいます」と語ってくれた。

各地のセミナーでも活躍中

市場や投資の知識についてのセミナーに引っ張りだこの長谷川氏。わかりやすい解説と鋭い切り口が好評を得ている。香港のほか、日本でもゲスト講師として招かれることも。