キーマンインタビュー

33都市の海外ネットワークと｢地域密着｣で日系企業の
海外進出をサポート

2005年に香港出店を果たし2015年8月で節目となる10周年を迎えた同社。今回は、同社の強みを活かした戦略と今後の展望について迫る。

　現在、世界21カ国33拠点の海外ネットワークを有するスターツグループ。29年に渡る海外での不動産取引実績を活かし、日系企業の海外進出における不動産仲介（賃貸・売買）・管理をはじめ、開業までのコンサルティング、リゾート・投資用物件売買のお手伝い、サービスオフィスの運営など幅広いサービスを提供している。スターツ香港は、今年で開設10年。これからの展望について、桜木氏に伺った。

一日で価格が高騰する時代に設立

　香港オフィスを構える以前の２００２年～03年は、香港でSARSが発生した時期でした。そして、そのSARSが落ち着き、日系企業の香港出店が加速した05年、当社も出店しました。｢日本と同じサービス品質｣をモットーに、新規開設時のオフィスと、駐在員の方々の住宅手配仲介という2本柱で、サービスを始めました。

　当時は、一日で物件の賃料が高騰してしまうほど、目まぐるしいスピード感だったそうです。さらに、同業者間でも、激しい競争が繰り広げられている状況でした。また、日本では通常、仲介手数料は法律で基準が決められていますが、当時の香港はそのような基準もなく、物件ごとに交渉しなければならないなど、異なる商慣習での苦労があったと聞いています。さらに、香港出店直後で、｢知名度｣がなく、ローカルの不動産会社からも｢外資｣として厳しく対応された一面もあったそうです。

33都市展開の海外ネットワーク

　今年7月、新たに支店開設したサンノゼを加えると、海外ネットワークは、21カ国33拠点となります。さらに、２０１９年、創業50周年の節目を迎える頃に、50拠点有することを目標に掲げ、グローバル展開を目指しています。というのも、昨今は、海外の駐在地から、日本に帰国することなく、別の拠点へ赴任される方が増えてきている傾向があります。その場合にも、スターツの海外ネットワークを活かし、新たな赴任先での不動産物件の手配まで、多面的にサポートすることができます。

日本品質のワンストップ・サービス

　現在、スターツ香港は、日本人3名と香港人5名のスタッフで運営しています。弊社の香港人スタッフは、日本での就業経験があるため、日本語が堪能で、土地勘がある点が特長です。例えば、香港で住居を探す際、まず、日本のどこに居住していたか、どんなライフスタイルをしていたのかを伺います。そうすることで、嗜好性を踏まえ、香港ではどのエリアになるのかを見立てることができます。
　さらに、香港の住宅事情や子どもの学校環境からスーパーや飲食店の紹介、家庭用のインフラやインターネットの申し込み、ウォーターサーバーの手配、洗濯機の使い方に至るまで、生活基盤の整備を全面的にサポートします。また、日本に住居をお持ちの方には、その留守宅の賃貸対応、帰任時の日本での住居探しまで、ワンストップで対応しています。もちろん、手数料は、ローカル不動産と同じ、賃料の50％です。特に、帯同で赴任された奥様方から、とても心強い存在と、感謝いただくことが多くあります。

｢サービスアパートメント｣の新提案

　最近は、オフィス価格の急騰により、香港島から九龍サイドへ日系企業は移転する傾向があります。その状況を踏まえ、｢経費削減に伴うオフィス移転のご提案｣を集中的に行っています。
　また、コンプライアンスの観点から、総務・人事の業務を現地のローカルスタッフではなく、アウトソーシングする提案も強化しています。
　さらに今後は、｢サービスアパートメント｣の運営を検討しています。というのも、需要と供給のアンバランスから、不動産賃料が高騰し、安定した物件提供ができない環境要因が一つあります。もう一つは、日系企業の駐在員の傾向として、特に金融系では、30歳前後を中心とする若い世代の方々がトレーニーとして、一年の期間限定で派遣される方が多いこと。賃貸物件では、1年間勤務でも、2カ月前告知など、早めの申請や、煩わしい手続きが発生しますが、サービスアパートメントでは、一カ月単位で気軽に賃貸契約できる利便性があります。リネン交換、清掃サービスがありながらも、ホテルより低価格ということで、ニーズが高まっているためです。
　現在、カンボジアのプノンペンで、ホテル＆サービスアパートメントを建設中です。この香港の地でも、バスタブや、畳など、日本的要素を取り入れた設計で物件を提供していきたいと思っています。香港での安定した生活基盤をお届けできるよう、日本国内と同様のホスピタリティ溢れるサービスの提供を目指します。

　2015年7月9日にコンラッド香港ホテルで『スターツ香港設立10th Anniversary Party』を開催。日本からグループCEO、そして上海拠点・広州拠点の社長も駆けつけ、感謝の意を伝えた。大型台風が上陸する中多数のお客様にご出席頂き華やかな祝典になった。

PROFILE

さくらぎ　りゅうじ

福岡県福岡市出身。1979年生まれ。青山学院大学経済学部卒業。スターツ株式会社入社（現スターツコーポレーション株式会社）。総合不動産店舗｢ピタットハウス｣にて、不動産仲介業に従事。その後、店長、エリアマネジャー歴任後、スターツグループ本部の人材採用本部に所属。2014年7月に来港し、現職に至る。

＜桜木さんを知るキーワード＞

私立西南学院高等学校に在学中は、サッカーに明け暮れる毎日。写真は、福岡県リーグ1部に初昇格した時の記念すべき一枚。写真の中央上部に笑顔の桜木氏。DFで副キャプテン。今も昔も変わらず、頼りになる存在。

ハイキングでリフレッシュ！

健康的に生活するためにと、仲間と一緒に始めたハイキング。香港に赴任して、早１年、年に数回歩きリフレッシュしているそう。写真は、ドラゴンズバックに登頂した時の一枚。

男の手料理は｢お好み焼き｣

写真は、桜木氏お手製の｢豚玉入り関西風お好み焼き｣。たっぷりのキャベツとオタフクソースとマヨネーズで味付けで、ビールが進む逸品！週末には、リフレッシュを兼ねて料理を作ることも多いそう。