キーマンインタビュー

KAGOME HONG KONG CO., LTD
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KAGOME HONG KONG CO., LTD

Managing Director 山口 隆幸氏

未開の野菜ジュース市場を

堅実戦略で耕し開拓する

新たに「ネット販売」も始動



今年で創業116年を迎える日本ではお馴染みの同社。2009年に香港で「トマトジュース」の発売を開始し、わずか3年間で、当初6%だった認知率を60%まで拡大させた同社。14年に香港拠点を設立した山口氏にその戦略を伺った。


香港向け「トマトジュース」の誕生


 進09年中国の子会社で製造していた商品を香港に導入したのが始まりです。その後12年に香港を担当し、香港では「日本製造」を高く評価することがわかり、「日本ブランド」をもっと前面に出していく必要性を抱き、14年2月に香港法人を起ち上げました。
 まず最初に、同年7月、日本自社工場で「香港向け野菜飲料」の製造を開始しました。というのも、当初は、上海の方を対象とした味覚調査から中国工場で製造し販売していましたが、香港人の味覚とは全く異なることがわかり、改めて「香港人の味覚の嗜好性を探る」調査を実施しました。約一年かけて、千名を対象にWEB調査を行い、その中から百名以上の方々に協力をいただき「トマトジュースを飲む人」「それ以外」で分類し、それぞれのグループごとに試飲会を開催しました。約10名のグループ単位で試飲を繰り返し、約50種類もの試作品を作りました。というのも、私は日本人ですから、香港の方の味覚がわかりません。「納得いくまで、検証するしかない」と腹を決め、ここまでの調査をやりました。因みに、日本商品の場合は、ここまでの調査はしないですね(笑)。その結果、日本は「スッキリ・フレッシュ」なトマトジュースを好みますが、香港は「食感・ドロドロ感」がある「粘度の高い」食感を好み、「酸っぱい」味を嫌うことなどがわかりました。製造工程では、日本の場合は、トマトをそのままジュースにする「ストレートタイプ」ですが、香港人が好む「ドロドロ感」を作るためには、「濃縮」する必要があります。つまり、1.5倍量のトマトを「濃縮」するためコスト高になっているのも事実です(汗)。しかし、弊社の飲料は、子どもからお年寄りまで手軽に日常飲用できることを目指していますから、コンビニで$10以下で販売しています。
 また、「自然を、おいしく、楽しく、カゴメ」の弊社ブランドがお客様に約束する価値は日本も香港も同じです。メーカーとして、何を守り、何を変えていくべきか。人種の違いによる味覚の嗜好性は異なるため、現地化していく必要があると考えています。

今後の展開①
レストラン向けビジネス


 一つは、レストラン向けに野菜飲料のみならず野菜原料やトマト調味料などを供給するビジネスを開始しました。特に、弊社は「トマトと人参」の調達が強みです。パスタに合うトマトなど、料理に合わせて選ばれる幅広い品種を揃え、世界10カ国のネットワークで、種から育成、契約栽培、収穫、製造まで全て一貫して管理し、安全な食材を、一年中安定的に供給できる体制を築いています。ほとんどのメーカーは種や育成などの一次産業についてはビジネスリスクが大きく、自社機能を持っていません。しかし、弊社は創業者蟹江一太郎が農業を原点としており、また食の安心・安全を自社で担保する上でも、種から最終製品まで一貫した自社機能を持っています。


今後の展開②
「ネット販売」で自宅にお届け


 6月から店頭販売されていない商品のWEB販売(繁体字、英語、日本語)を開始しました。1ケース$300(30本)で、自宅までヤマト便で無料配送します。最初は、飲料から開始し、その後はサプリメントなど商品バリエーションを増やしていく予定ですから、ぜひ、ご利用ください。


今後の展開③
「食の価値」を見極めアセアン市場へ


 現在、海外売上比率は20%ほどですが、少子化など人口減が続く国内市場はやはり頭打ちの状態です。アセアン市場への進出、事業拡大をふまえると、20年には海外売上比率が30%を超えると考えられます。但し、その国の経済成長段階により、食に求める価値は異なります。まず第一段階は安心・安全に食べられる価値、その次に美味しく食べられる価値、そして経済成長が進むと食に健康や美容の価値を求めるという流れになります。この健康や美容の価値を求める段階に移行するターニングポイントを見極め、投資をしていきたいと考えています。
 そのためにも、まずは香港で成功モデルを作り、次の展開に備え、積極的にチャレンジしていきたいと考えています。
 現在、日本のフルーツジュース市場は二千億円で、野菜ジュース市場もほぼ同じ二千億円。一方香港では、フルーツジュース市場の四百億円のみ。野菜ジュース市場がないからこそ、競合もいないが未開の市場故に、確かな戦略と体力が要求される。同社の堅実な企業精神により育まれた野菜ジュース市場だからこそ、着実に拡大化するはずと確信した。



公益財団法人みちのく未来基金/2011年同社は、カルビー株式会社・ロート製薬株式会社とともに設立し、震災遺児の進学の夢の支援を開始。高等教育進学や入学から卒業までに必要な入学金と授業料の全額(年上限300万円)を返済不要の奨学金として給付する活動を現在も継続している。


PROFILE

なかえ たかひこ

1980年1月28日生まれ。佐賀県出身。2002年に長崎大学水産学部卒業後、同年カゴメ株式会社入社。以降、営業・国内マーケティング部門を担当。2014年2月に、カゴメ香港設立し、2カ月後の4月カゴメ香港に着任、現在に至る。


<山口さんを知るキーワード>


「剣道一筋」の少年時代


「小学校4年から高校まで続けた剣道で心身共に鍛えられました」と語る山口氏。写真は、中学時代の佐賀県大会で優勝し、表彰された時の1枚。


「読書」に目覚めた大学時代


ビジネス書・伝記など。特に最近は歴史書にもはまっているそう。「良書は友達の中の最良の友であり、自分を支えてくれる大切な存在です」と山口氏。


「お酒」が生活必需品の現在


「仕事で食に携わる者として、お酒の存在は欠かせませんね。ワイン・ビール・日本酒問わず、酒だけはやめられません(笑)」と山口氏。




KAGOME HONG KONG CO., LTD

住所 31/F, Tower One, Times Square, 1 Matheson St, CWB, HK MAP
電話 852-2107-3736

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