キーマンインタビュー

A-1 BAKERY CO.,(HK)LTD
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A-1 BAKERY CO.,(HK)LTD

Managing Director 楊井 元伸氏

「一番の美味しさ」を

香港の食卓に届け続け、

今年5月は「30周年記念」

 1985年に香港拠点を設立し、ベーカリー、カフェ、レストランを立ち上げ、香港生活に密着した展開で、2015年5月に30周年を迎える同社。今後の展望に迫る。


 1948年、楊井氏の父でもある創業者が大阪で「パン・ケーキ」のベーカリー・カフェを設立。社名の「A‐1」は、アルファベットの一番目の文字と数字の1を組み合わしたもので、「美味しさで一番になる」その熱い想いが社名に込められている。そして、85年の日本バブル時代が到来する直前には、すでに海外展開を見据え、海外初の拠点として香港を選択。今年5月には、30周年を迎える同社に、初の海外進出を踏まえての紆余曲折や今後のさらなる展望について伺った。


一晩のトランジッドから
誕生した香港設立


 すでに、海外展開の話は、79年には創業者から提案されていました。将来の日本の少子高齢化を見据えての決断でした。81年、「ベーカリーの技術指導」で、台北に訪れた際、その反響が良かったことも海外進出を後押ししてくれた要因でもあります。

 
 82年、タイ、マレーシア、シンガポールを巡り、経済状況・文化・人口など市場調査に参加しました。そして、帰国のトランジットでたまたま香港に立ち寄りました。その時、ショッピングセンターの設立などニューテリトリーの開発が進行中で、ヤオハン様が出店を計画していること(84年12月)、さらに、三百坪もの広大な土地があるという情報を、ディベロッパーの方から伺いました。それからです。当初予定にはなかった「香港」が急遽候補地として浮上し、中国返還後の影響はさほど大きくはないこと、フリーポートである魅力、日本から近距離であることなどから、海外初の出店を香港に決定しました。香港との縁を深く感じた瞬間です。


「ビールを飲まない?」想定外の
国民性に困惑し挑戦する


 その後、三百坪もの土地があったことから、「パン・ケーキ・アイスクリーム」のベーカリー・カフェに加え、ドイツからマイスター・シェフを招き「ビアハウス」も併設し、大々的にオープンしました。
 しかし、30年前の当時、香港の方は「ビールをさほど飲まない」ということを想定していなかったため、土日しかお客様が来店せず、売上も平日と土日で約10倍もの繁閑差がある状況で、困惑しました。そこで、香港に「麺の文化」があることから、日本で「ラーメン」修行させリニューアルオープンしたところ、安定的に集客するようになりました。さらに、ドイツ料理を止め、柔らかい肉を使用した「ステーキ」、「ビーフストロガノフ」、「チキンアラキング」など、香港スタイルへの転換も試みた結果、喜んでいただけるようになりました。
 その後、現在の礎となったのは、City' super様との出会いです。97年~05年の8年間、弊社のグレードアップブランド「Das Gute」を陳列させてもらったことにより、香港の方々に広く届けることができました。そして、現在は「A-1 BAKERY」、ヨーロピアンテイストの「Das Gute」、「La Creation」、ベーカリーとカフェを併設した「Balencia」、「Maison a+」の5つのブランドを展開するまでに至っています。


「パン文化」を地域密着で
さらに浸透させるために


 ご存知のように、香港は家賃が高く、さらに、30年前と比較すると人件費も高騰しています。とはいえ、「一番の美味しさ」を目指すためには、妥協はできません。ですから、手作業で行う工程と機械で行う工程とを分けて、「効率化」を図ることが急務だと考えています。例えば、弊社の人気商品の一つでもある「ポンテケージュ」は、日本メーカーの高い技術力と弊社の職人魂とのコラボにより、手作りと変わらない品質に仕上げることができるようになりました。さらに、大きな製造工場で「効率的」に商品を作り、現在の50店舗から、百店舗を目標に、地域に密着した店舗販売することを計画しています。
 もう一つは、「ベーカリーの技術指導」の展開です。つまり、弊社のメニュー、レシピ、作り方、工場設置に至るまでのノウハウを提供し、サポートします。すでに、哈爾濱(ハルビン)、瀋陽(シンヨウ)、廣州(コウシュウ)、東莞(トンカン)、台北(タイペイ)、深セン、バンコックで実施しており、今後さらに拡大する予定です。
 さらに、16年には、主婦と子ども向けの「クッキングスクール」の開校も検討しています。香港の方々に「パン文化」をより浸透させるために、そして「一番美味しいパン」を届けられるように尽力していきます。


 現在、同社の従業員は日本人はわずか5名で、約1100名の香港人が支えている。
「日本企業ではあるものの、香港に育ててもらった会社だから、恩返しをしていきたい」と楊井氏。
 これからも、毎日の生活に欠かせない身近な店になるよう、さらなる多店舗展開が叶う日が近い将来訪れることを確信した。

「何より、美味しいもの、フレッシュなもの、本物であること」にこだわる同社。商品には一切「防腐剤」を使用していないため、賞味期限が短いが、鮮度の良い安心・安全な商品を届けるために妥協はない。


PROFILE

やない もとのぶ

1952年12月1日生まれ。大阪府出身。日本大学理工学部卒業後、Hawaii Pacific Universityのビジネススクールで3年就学し卒業。その後、1978年同社に入社。1985年に香港拠点の立ち上げに尽力され、その後1988年~1991年は台北拠点の設立に関わる。そして1991年再び香港に戻り現在に至る。


<楊井さんを知るキーワード>


楊井氏の父親が創業者

1948年大阪にてA-1ベーカリーを設立した創業者。その後1980年代にすでに、日本の少子高齢化を予測し、アジアマーケットの重要性を認識し、早々に海外拠点展開に舵を切った。創業者の熱き思いが社訓とともに掲げられている。


1985年香港設立メンバー

1985年海外初となる香港拠点を設立した時の立ち上げメンバーとの記念写真。想定外の苦難をともに克服した同志とも言える心強い存在である。


A-1サッカーチームの設立!

社内コミュニケーション強化の目的で2014年4月に設立された同チーム。横浜FC香港のスポンサーになったことが発足の原点。現在、約30~40名が所属し、毎週(水)業務後、練習に汗を流している。




A-1 BAKERY CO.,(HK)LTD

住所 Unit 1707-1706, 17/F, New Commerce Centre, 19 On Sum St, Siu Lek Yuen, Shatin, NT, HK MAP
電話 3143-8088

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