キーマンインタビュー
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大金(中国)投資有限公司
大金(中国)投資有限公司 樋口 忠司氏 2024年7月号
世界中の人に快適と安心な
製品を提供し続けること
本年創業100周年のダイキン
15人の町工場からグローバル企業へ
1924年、大阪・難波で創業されたダイキンは15人の町工場に過ぎませんでした。社名は当初の合資会社大阪金属工業所から、大阪金属工業株式会社へ変更し、最後にダイキン工業株式会社となりました。100周年を迎えた今、2024年の最新データでは、資本金が850億円、従業員数が単独7,654名、連結98,162名、空調売上が世界一、グループ会社数が連結子会社349社、そのうち日本国内31社と海外318社といったグローバル企業に変貌しております。主な事業内容は空調、冷凍機、化学、油機、特機、電子システムの6つです。日本をはじめ、アメリカ、中国、アジア・オセアニア、欧州などでグローバル展開を加速し、事業展開する国は170カ国以上に広がっています。市場ニーズがある場所で生産するという「市場最寄化生産戦略」をとり、生産拠点数は世界120カ所以上に及びます。海外での売上高は全体の84%を占め、グローバルメーカーとして成長を続けています。
1990年代末の世界経済は、改革開放後の中国やIT産業を中心とした成長を遂げるアメリカ、市場統合・通貨統合を進めるヨーロッパなどが経済成長を牽引していましたが、なかでも、当時の中国は、世界から投資を集めて「世界の工場」となっていましたが、グローバル企業の競争の舞台の重心が、中国をはじめとする新興国に移りつつあり、一方で日本は、高度成長期からバブル経済まで続く長い成長期を終えた状況を見通し、海外と中国へ事業の中心を移すことになったのです。上海からスタートした大金中国
中国の経済発展のスピードに追い駆け
中国事業をスタートしてから30年目となる現在、中国全土33社で従業員数約2万人近くになってきました。中国の経済発展のおかげで、ダイキンの「最高の信用、進取の経営、明朗な人の和」という社是と「世界中の人に快適と安心を提供し続けること、それがダイキンの使命であり責任です。人が持つ無限の可能性を信じ、情熱を結集して、新たな技術を生み出し、持続可能で豊かな未来をダイキンは切り拓いていきます。」というグループ経営理念を元に、大金中国は研究開発、生産、販売からアフターサービスまでの一体化した全面的な産業に発展してきました。
私は2004年から大金中国の上海地区へ赴任し、開設10年目となる中国本部を更に発展させるべく、毎日のように営業活動の一環で接待をしました。日本にいた時の印象では、中国のお酒といえば紹興酒でしたが、上海での接待ではワインを飲むことが多かったです。妻が私の健康を心配していましたが、1年後の健康診断の結果を見ると、日本にいた頃よりも逆に健康状態が改善していたことに驚きました。ワインが健康に良いことに加え、大金ブランドの知名度が中国南部で徐々に高くなり、市場シェアが向上したことで心身に良い影響を及ぼしたことも原因かもしれません。中国で当初のコンペジターはほぼ日本メーカーのブランドでしたが、次第にローカルメーカーのブランドが台頭し、主要なコンペジターとなりました。日本のブランドは縮小が続く一方で、中国市場で未だに主流なブランドといえば、弊社含め数社のみです。
ダイキンの強みは下記に纏められます。1:空調事業が売上全体の92%を占めており、他の電機メーカーと異なる「空調専業メーカー」であることです。2:一流メーカー、世界のリーディングカンパニーとなった大きな要因は「高品質」です。原材料を吟味した上で徹底的に試験を行うことで、販売後の不良率を極限にまで下げています。他社に比べて割高になっても、この品質を守ることでお客様の信頼を得て世界中で認めて頂いています。中国でも同様です。3:ダイキンは原則「地産地消」を行っており、欧州で販売する製品は欧州で、中国で販売する製品は中国で生産しています。日本やアメリカ、東南アジアでも同様です。どこで生産しても同じ高品質の商品をご提供できます。4:「アフターサービス力」もダイキンの強みです。この中国でもダイキン100%出資のアフターサービス会社を設立し、メーカー自らが保守メンテを行う体制を取っています。もちろん大連を含めた東北各地にもサービス会社があり、サービスマンを配置しています。これは他社も模倣できていないダイキン独自の強みです。5:「設計力、工事力」もダイキンの特長です。設計院(設計事務所)と連携して、お客様にとってベストな設計をダイキンがお手伝いしています。また、使用時の気流解析を設計段階で実施しています。現場調査にもエンジニアが自ら出向くことで、お客様に信頼頂いています。工事についても業者に任せるのではなく、工事専任の部門が工事品質の向上に日々取り組んでいます。メーカーでここまでの一貫体制を築いているのは弊社のみです。6:「販売網の強さ」はダイキンの代名詞です。3,000社以上の販売店網を中国全土で構築し、外資系企業でありながら中国ローカル企業に負けない、各地域に根差した営業活動を展開しています。家庭用空調を販売するダイキンのお店を「PROSHOP」と名付けて看板を掲げ、中国独自のスケルトン住宅の状態から、お客様が作り上げるご自宅の空調部分のお手伝いをしています。
ダイキンのビジョンを元に東北地区の夢を構築
私は上海から香港へ、2015年から大連へ赴任、東北3 省と内モンゴルを統括します。大連の日本料理、海鮮、海、天気が大好きです。何より、大連を始めの東北では日本語と標準語を通じるので、仕事も生活も便利です。東北地方は昔から気候の関係で空調を使う習慣がなくて、おまけに広くて白酒を飲ませますので、最初の営業が困難でした。これから、ダイキンの「空気と環境の新しい価値で世界に答えを出していきます」というビジョンを元に、大連のほか、フフホト、ハルビン、長春、瀋陽、錦州の6カ所に同時に力を入れて、東北で生産工場を立てるような販売量を目標として努力し、東北発展と共に発展していきたいです。
2024年初めに大連でコロナ以来4年ぶりの年会が開催されました。東北地区は大連、フフホト、ハルピン、長春、瀋陽、錦州の6カ所を含む170名の従業員が参加しました。販売、技術、工事、アフターサービスなどの全部門です。
プロフィール
ひぐち ちゅうじ
1958年生まれ、大阪府出身。ダイキンに入社後、本社と販売会社などでの経験を積んでから、2004年に上海へ赴任し、大金中国の上海地区責任者を務める。2011年に香港へ赴任し、ダイキン香港(大金冷気香港有限公司)の総経理を務める。2015年に大連へ赴任し、大金中国の東北地区責任者として、東北3省と内モンゴル自治区を統括する。
どんな仕事も苦労が多く大変ですが社員には「仕事は楽しくやろう!」といつも呼び掛けています。暗い気持ちでやっても消極的になるだけ。苦しくても明るく、そして楽しくやる事を社員みんなに伝え、自分自身も心掛けています。
樋口さんをさらに知る
内モンゴルでの乗馬体験
内モンゴルの草原や砂漠での乗馬を何度か体験しました。中国の中で様々な異文化交流を体験できて楽しいです。日本の3倍以上の面積がある内モンゴルには、砂漠や草原、森林など豊かで雄大な自然や景色が広がっています。
「大連日本調理師会」の会員
調理師でもないのに「大連日本調理師会」の会員です。美味しい料理は作れないですが、様々な行事に楽しく参加しています。餅つきなど一般の皆さんとの交流イベントもあります。ご興味のある方は是非お声掛け下さい。
海外への社員旅行
海外への社員旅行は毎年の慣例行事でしたが、コロナ後のこの春久しぶりに実施しました(今回は韓国)。東北3省と内モンゴルから集まるので手配が大変ですが、東北社員全員が集まれる貴重な機会なのでいつも盛り上がります。
大金(中国)投資有限公司 東北地区統括部
中山区港浦路 39-1 交易広場11階(オリックスビル)
℡(0411)8360-0909