わかる税務

2023年度の個人所得税の確定申告が2024年3月1日から開始（携帯のアプリでは3月21日から）されています。国家税務総局は確定申告で頻繁に発生する問題の事例、その内容、解決方法を解説しています。

今回は紹介されている事例のいくつかをピックアップして解説します。

事例1 申告アプリ（APP）のパスワードを忘れてしまった

個人所得税の確定申告は年に1回だけ行うため、申告アプリのパスワードを忘れてしまうことがあります。パスワードを忘れてしまった場合、“パスワードを取り戻す”をアプリ上で実施することにより、パスワードを再設定することが可能です。使用している携帯で承認することにより、再設定が可能です。

事例2 複数の所得の合算納税

納税者の李さんは年間給与が20万元、雑誌に寄稿し原稿料収入が2万元ありました。各控除を差し引いた後、確定申告を行った結果、560元の追加納付となりました。李さんは給与所得の個人税の税率は25%であり、原稿料収入の個人税の税率は20%でした。総合所得として両方の収入を合算して計算した結果、原稿料収入に対しても給与所得と同じ25%の税率が適用され、560元の税金の追加納付となりました。

事例3 税還付の際の関連証憑の提出

呉さんは確定申告を行う際、寄付状況に基づき10,000元の寄付控除を追加したものの、贈与先の名称及び寄付証明書番号などの事項は明記しませんでした。税務機関は税金還付審査時に必要事項の未明記の状況を発見し、呉さんに寄付に関する証明書をアップロードするよう注意喚起しました。しかしながら、呉さんは寄付情報や証憑を提出しませんでした。最終的に、税務機関は税金の還付しない決定を下しました。

事例4 老人の定義

楚さんは今年25歳であり、確定申告の際、周りの同僚が老人扶養特別追加控除を記入して税金還付を受けるのを見て、自分も申請をしたくなりました。楚さんの両親はまだ60歳になっておらず、老人の条件（退職者）を満たせませんでした。楚さんは機転を利かせて、自分の祖母の情報を自分の母の情報として老人扶養特別追加控除を申請しました。数日後、税務機関の税金還付審査時に異常が発見され、楚さんの税金還付申請は取消されました。

事例5 国外所得の申告

何さんは国内の某会社から海外子会社に3年間派遣されており、同社は毎年2月末までに税務機関に派遣者情報を報告していました。年度の確定申告期間中、同社は何さんに対して海外収入について国内で個人税を申告すべきだと注意していたものの、彼は海外派遣期間が長く、発見される可能性が低いと考え、海外所得を申告しませんでした。税務機関がビッグデータの比較分析を行った結果、数十万元の海外所得が申告されていないことを発見し、期限内に個人所得税申告の是正を命じる通知書を出しました。何さんは税金と滞納金を追納する結果となりました。

事例6 税金の追加納付の未処理は罰則がある

納税者の張さんは2022年度に複数の職場に勤務しており、多額の原稿料も取得していました。各所得に対して源泉徴収された税率は、2022年度の所得を合算して計算された適用税率を下回っており、税金を追加納付しなければなりません。確定申告の際、張さんは追加の税金が多額になっていることに驚き、発覚しないと思って確定申告を最後まで行わず、追加の税金を納めませんでした。2023年8月、税務機関は通知書を張さんに対して送付し、追加の税金、延滞金も課せられる結果になりました。