キーマンインタビュー

培ったノウハウを生かし国境を越えてつながる人材総合サービスを提供

日本の人材総合サービス大手・リクルートの海外部門としてアジアを中心に展開を進めるRGF。グローバルNo.1を目指す同社の挑戦と今後の展望を伺った。

リクルートの海外展開を担う

RGF、リクルート・グローバル・ファミリーは、株式会社リクルート・ホールディングスの海外部門として誕生しました。2006年に初の海外オフィスを上海に開設、2009年には香港の人材紹介企業を取り込む形で香港を統括拠点と定め、本格的に中国・アジアでの事業を開始しました。まさに日系企業が盛んに中国へ進出していた時期でもあり、事業は順調に拡大し、2011年からはインド、台湾、さらにベトナムなど東南アジア各地へも進出。2017年現在、アジア11カ国28都市に拠点を構えています。

香港オフィスは、RGFグループ全体の統括拠点として、またグループ内ブランドの一つ「RGF HR Agent」の香港地域拠点としての二つの役割を担っています。統括として中国やインドなど各支社のサポートをしながらアジアの活発な人材マーケットの調査・分析を行う傍ら、「RGF HR Agent」では香港の日系・外資系企業向けにCEOなどのトップマネジメントからマネジャーレベル、アシスタントやスタッフまで幅広い層の人材をご紹介し、またそれら企業に対し人材マネジメントを切り口にしたオペレーションスキームのコンサルテーションを行っています。
 
 外資マーケットへの挑戦
 
日本での人材紹介コンサルタント職を経て、私がRGF HR Agent Hong Kongへ参画したのは2011年です。着任当時、香港オフィスの取引先はほぼ日系の企業様に限られていましたが、中国の各拠点がぐんぐんと業績を伸ばす中、香港でももっと大きな視野でビジネスを拡大していこうという機運が高まりました。中国やインドといった巨大な新興市場に比べ、香港という小規模かつすでに成熟した市場で日系のコミュニティのみを対象としていれば、安定はしていても事業は自ずと限られたスケールにとどまらざるを得ません。せっかく海外事業をするからにはインターナショナルな市場でも存在感を示せるようになろうと、2013年から香港企業を含めた外資系をメインターゲットに定めました。

とはいえ、外資系企業の人材マネジメントは日系企業とはスタイルが大きく異なります。本社からの駐在員が柱となり現地採用ではアシスタントやオペレータ職を補充することが多い日系クライアントに対し、外資系ではマネジャーや経営陣レベルまで現地採用で人材を確保します。求められる人材像、給与や待遇面の条件、人材エージェントが果たすべき役割など、これまでとはまったく異なる環境下で、競合となった欧米の大手エグゼクティブサーチファームを相手に難しい案件にも注力してきました。外資マーケットではまだまだ知名度もない中、未知のフィールドでの試行錯誤に数字としては苦戦した部分もありますが、新たな分野へ挑戦したことで今後の糧となる多くの学びを得たことが一番の収穫でした。

挑戦の4年というひとつのフェーズを経て、今年からは、弊社の本来の強みである日系マーケットでの実績に加え外資で蓄積したノウハウも生かし、RGFとしてのサービススタイルを確立していく段階に入ったと考えています。外資ファームのマネではなく、国際的なニーズにも対応できる日本のエージェントとして、条件に最適な人材を厳選した決定率の高い人材紹介、よりクライアントの要望に沿うことができるテイラーメイド型サービスの充実を目指します。
 
 グローバル時代の人材サービス
 
2020年までに人材領域でグローバルNo.1を目指す。これが、現在リクルート・ホールディングスが掲げているミッションです。効果的なM&Aによる規模の拡大のみならず、やはり自分たちの手で事業を創造し、自前のサービスを育てていくオーガニックビジネスが目標到達への道だと考えています。人材市場が黎明期にあり、現地・外資系企業も積極的に人材紹介会社を利用する中国やインドと比べ、香港やシンガポールなどの成熟市場はひとくくりには語れないとはいえ、やはり地場にどれだけ切り込めるかが鍵になります。折しも、ここ1、2年で中国の対外資企業政策の厳しさが加速しており、一部の日系・外資系企業は再び香港へ拠点を移すことになるのではないかとの展望もあります。また、人材ニーズのトレンドも変化しつつあり、今後は監査・会計や内部統制などのスペシャリスト、各種専門職の需要が増えていくと予想します。ユニークなところでは、外資の飲食業界で日本人の熟練和食職人が求められるなど、企業駐在以外での日本人の活躍の場も多様化しています。

香港は世界から人が集まり、中国本土からの優秀な中国人や日本語堪能な香港人など多様な人材も豊富です。国籍にとらわれず条件にベストマッチな人材と企業を結びつけ、さらには「企業として何を目指すのか」という、人材が基盤となる企業のビジネスオペレーションそのものの最適化に関しても貢献ができればと考えています。

現在30数名のスタッフが在籍するRGFの香港オフィス。きめ細かいコンサルテーションとデータベース化された人材バンクにより、企業ニーズに最適な人材を選び出しマッチングさせる質の高い紹介サービスを行う。

PROFILE

たかやま のりひさ

千葉大学大学院自然科学研究科卒。日本で総合商社・資源開発・製造業などを対象にした採用コンサルティングに従事した後、2011年よりリクルート海外事業であるRGFに参画。現在はゼネラルマネジャーとして香港法人を束ねる一方、プレイヤーとしても採用コンサルティング活動を行っている。

<高山さんを知るキーワード>

週末は自然の中で過ごす

ハイキングの同好会に参加しており、週末にはたいてい山に登っています。香港に来てこの7年いろいろなコースを歩きましたが、お気に入りはランタオ島のツインピーク。トレイルランも好きで、香港の100kmランにも参加しています。

密かな趣味は乗馬!

大学時代に少ししていた乗馬を、3年前から再び始めました。Clear Water Bayの乗馬場で、スコットランド人インストラクターに教わっています。毎年香港で開催の「ロンジン・マスターズ」で、世界トップクラスの競技を観るのも楽しみです。

香港の大学生向けセミナー

RGF香港では、CSR活動の一環として香港の学生さんたち向けの就業セミナーを行っています。日本のことをよく知っていただくと同時に、具体的な就職活動のしかたやキャリアプランの立て方なども指導しています。