キーマンインタビュー

上海梅龍鎮伊勢丹百貨有限公司
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上海梅龍鎮伊勢丹百貨有限公司

総経理 工藤 卓巳氏

激変する中国のメディア環境で

競合過多やニーズの変化の中

新たな価値創造のための


3年連続赤字の状態の中で総経理に就任し、改革を断行し黒字化を達成。さらなる成長戦略を描く同社の総経理に、これまでの経緯と今後の方針について伺った。



1983年に出店、話題の店に

 三越伊勢丹の海外事業は現在アジア4カ国と欧米3カ国で店舗を展開しています。中国には百貨店4店舗(上海1、天津2、成都1)と小型店1店舗(上海1)があります。過去には瀋陽、済南と上海1号店があったのですが既に閉店しました。事業内容は百貨店を主体とする小売が中心ですが、SC向けの不動産管理事業や、越境EC事業も行っています。
 当社は1983年に上海と天津に開店しました。梅龍鎮伊勢丹は上海の2号店として1997年に開店しました。当初の狙いとしましては、商売で利益を上げることはもちろんですが、なによりも日本の良いものや文化・サービスなどを中国に持ち込み、中国の皆さんの生活をもっと豊かでお洒落にしたいという気持ちがありました。1983年当時、伊勢丹は初めてお客様に頭を下げてご挨拶する店として大変話題になりました。2号店の梅龍鎮伊勢丹が開店してから南京西路は高級ショッピングエリアとして開発が進み、広域から多くの富裕層が集まる街になりました。


逆境の中での黒字化への苦心

 開店から10年程は国内外のブランドや国内の百貨店のお手本的な存在であったと言えます。伊勢丹に入ればブランドの価値が上がり、全国展開の足がかりになるので、多くの日本や中国国内のアパレル企業がこぞって訪れました。中国内の百貨店の視察もとても多かったです。当初の目論見通り、上海の人たちの生活をお洒落で豊かなものにし、経営も順風満帆でした。しかし、2007年から減収が始まりました。競合百貨店や大型SCの出店と進化の中で、今までの強味が通用しなくなったことが問題でした。さまざまな施策を打つことで持ち直しましたが大きな流れは止められず、2013年に赤字転落。2015年には日本のISETAN MENSを持ってきましたが大失敗し、もはや日本の商品をそのまま導入しても通用しないことを痛感しました。
 3年連続で赤字状態だった2016年に上海伊勢丹の総経理に就任。その際、ローカル社員の覇気のなさに驚き、約200名の全社員と面談をして課題を洗い出したところ、給与体系と評価に対する不満が大きな課題でした。まず、策を練って好きなことをやりなさいと社員に促し、収益が上がれば給与を上げることを約束しました。提案してきたものは断らずにすべて実施させるという方法を採用し、さらに相当数の社員を日本へ研修に赴かせました。社員たちは日本の良いところを貪欲に学んできました。そして彼らの仕事を見てあげ、誉めてあげると、自発的に内部構造改革が進んでいきました。そのようにして就任3カ月目から15カ月連続で売上目標を達成し、2017年度には黒字化できました。



情報収集&発信の場へと転換

 昨今の家賃や人件費の高騰、オンオフの競合過多や生活者ニーズの変化による売上苦戦、収益悪化の環境の中で、当社が持っているVALUE(場・人材・のれんのブランド力)をどのように作り、活用し収益を上げていくかが重要です。来店してくださったお客様に有益な情報をきちんと与え、その情報をお客様が自分のアイデンティティーとして発信できるような仕組み作りを企画しています。狙いとしては、当社には多くの化粧品が揃っているので、お客様に自由にその化粧品を使ってもらい、違いを楽しんでいただく場を作ろうとしています。一方、オンラインにおいては伊勢丹とお客様がともに情報を発信していくプラットフォームを今年の成長戦略として作っていくべく、そのための人材採用と組織作りを進めています。同時に人材活用を進め、スタートアップを目指している日本人留学生や、スタートアッパーのコミュニティと当社の日本人の若手社員を交流させることでイノベーションを図っています。現在企画しているのは、事務所の一部をコーワーキングスペースとし、そこに来て働いてもらって、当社の場を使って何か新しいことを始めたければ実施させるという試みを今年中に始めていく予定です。リアル店舗ではこうした取り組みは少ないと思います。
 また、今後は2、3級都市への小型店出店を進めていきます。上海の大悦城に2016年に開店した化粧品小型店ISETAN BEAUTYはそのモデル店舗です。比較購買していただくために、すべての化粧品を包括して販売できる販売員教育をしたところ、お客様にとっては押し売りはされないし、自由に試せるということで順調に成長し、オープン二年目で黒字化を達成しました。今年の4月には成都伊勢丹で食品小型店をオープン予定。同時に既存の百貨店では、小型店として切り出し可能なコンテンツ創造を進めていきます。お客様にとって楽しい情報収集&発信の場となれるよう、これからもイベントレベルではなく、常態化して継続進化する仕組とスキーム構築に注力していきます。



2000年から3年間、現在と同じ梅龍鎮伊勢丹で婦人の経理を担当しました。現在は2回目の赴任です。新たな価値創造と、董事や総経理を担えるローカル人材の育成が大きな任務です。


PROFILE


上海梅龍鎮伊勢丹百貨有限公司

総経理

工藤 卓巳氏 


北海道函館市出身。早稲田大学教育学部卒業後、伊勢丹入社。新宿伊勢丹婦人服バイヤー、吉祥寺店婦人マネージャー、上海梅龍鎮伊勢丹婦人服部門経理(2000年~2003年)、新宿伊勢丹、松戸伊勢丹、京都伊勢丹商品部長、本社商品部雑貨部長を経て、2016年4月より上海梅龍鎮伊勢丹総経理



工藤さんを知るキーワード

吉川英治


日本では通勤時間が長かったことが多く、1日1冊ずつ乱読していました。吉川英治の小説は大体好きです。京都に5年間赴任していた時に読んだ宮本武蔵がとてもリアリティーがありました。


サーフィン



20代の頃からずっとサーフィンをしていますが、ここ4、5年できていません。前回の赴任時にボードを持ってきて波を探しましたが、上海では見つかりませんでした。今は太ってしまい浮くことさえ……(悲)


パスタづくり


いわゆるキッチンドランカーで、お昼からワインを飲むためにパスタを作ります。晩御飯を私が作れば、作り始めた時から飲めるのですが、レパートリーが増えないので家族からは少し不評です(笑)。



上海梅龍鎮伊勢丹百貨有限公司

上海市静安区南京西路1038号7階

(021)6272-1200

詳細は上海梅龍鎮伊勢丹百貨有限公司

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