2009年上半期の全国税収総額は、前年度同期比の6%減。下半期は、さらなる落ち込みが予想されます。
今回は不測の税務支出を抑えるためにも、企業の税務リスク管理について解説をします。2009年上半期の全国税収総額は2兆9530億700万元、前年度同期比6パーセントの減収、下半期はさらに厳しい状況です。国家税務総局の情報では税収全体の50パーセントを占める全国3千社の大型企業が重点調査対象とされており、各地の税務局も、地方レベルの大企業を対象として調査を進めています。
特に、従業員各種福利費用の個人所得税の計上漏れ、基準を超過する福利費用、福利手当の損金計上などが重点問題点として報告されています。このような背景で、調査、更正による不測の税務支出を抑制するためにも、税務内部統制の整備がグループにとって、緊急かつ重大な課題になっています。
中国に数社から数十社の子会社を有する企業グループでは、税務内部統制制度の構築が喫緊の課題です。そのための手段として、次のような段階的な導入が効率的です。
A 現状の把握 ■まず、会社の過去3年間における各種税目の納税状況に対して全体的にレビューを行います。こうすることで、潜在的なリスクを洗い出したうえで、金額を概算し、対応策、改善案を出します。
■右記の税務レビューの過程で、確認した資料および発見されたリスクに基づき、自社に適合する税務自己検査チェックリストを作成します。これは今後の税務コンプライアンス管理目的にも応用できます。
B 制度の構築■国家税務総局の要求および所轄税務当局の実務を参考とし、Aで作成したチェックリストの各項目を、網羅的かつ効率的に実行する税務内部統制制度案を作成します。各種税目の納税計算、手続および相互けん制を文書化、制度化することにより、担当者個人に頼ることのない、納税申告作業の一貫性および安定性が生まれます。
■主な項目としては、根拠資料の収集および確認、税額計算方法、相互承認(自動承認を含む)手続、税務申告、税金納付、税務会計処理、発票と関連資料の保存と管理、特別税務項目(国際税務および移転価格)管理、税務調査対応があります。
C ウォークスルー■Bで作成した税務内部統制制度の運用をテストします。担当者以外の者が当制度を見ながら納税実務を執り行えれば合格です。
D 知識と制度の更新■税務通達の頻繁な改訂は中国の特徴であり、ここに重大なコンプライアンスリスクがあります。月次ベースで、会社に適用される全国および地方レベルの最新税務通達を選定し、有用な税務通達速報を企業内の税務担当者が共有するとともに、定期的(半年ごと)に制度を更新するなどの作業が必要となります。
E 定期的なモニタリングおよび■内部監査におけるチェック項目として、半年ごとまたは年度ごとに運営状況および財務担当者の適性を評価し、改善点を提示します。また、グループ各社に生じる共通問題をまとめ、担当者に対するトレーニングを定期的に行うことも有効な手段となります。
税務リスク管理は企業の経営管理の重要な一環として、厳しい環境においてこそ、これまでより重視する必要があります。
※ 本稿の中国語版はwww.nerachina.com/cn/news.aspを参照ください。
Concierge上海 09年12月号掲載