独占禁止法の事例 執筆者 : 中国的法律講座

水平カルテルにおける価格カルテルについて、ケーススタディを前回行いました。
今回は水平カルテルにおける業種協会の役割について見ていきます。

水平カルテルにおける業種協会の役割


江口  まず、張先生に業種協会の役割について説明していただきましょう。

 中国の業種協会は、企業が構成する自立的な組織ですが、経済界では重要な役割を果たしています。特に、政府が関連業種の法規を制定する場合、業種協会の意見を聴くことが常となっています。

江口  業種協会がそれほど重要であるということは、水平カルテルのうち、価格カルテルについてはどのように関与しているのでしょうか? 事例をご紹介ください。

 2006年12月、インスタント麺中国協会は、検討会の名目で関連会員企業を集めて北京でインスタント麺の値上げの時期、実施スケジュール等について協議しました。07年4月、同協会は杭州で会員企業と協議の上で、インスタント麺の値上げ幅と時期について決めました。07年7月5日、同協会は再び北京で価格調整の会議を開き、その後、一部の会員企業が取決めのとおりにインスタント麺の価格を全面的に引き上げました。

江口  インスタント麺協会は、どのような理由で会員企業を集めて、値上げについて話し合ったのでしょうか? これは水平カルテルの価格カルテルにあたりませんか?

 インスタント麺協会は、パーム油と小麦粉の価格上昇による企業のコスト増の検討ということで会議を開き、インスタント麺の値上げについて検討しました。これは、一見すると正当な理由のようではありますが、実際には独占禁止法の規定に違反しています。「独占禁止法」第16条によれば、業種協会は、当該業種の事業者を本章で禁じている(水平価格カルテル)独占行為に従事させてはならないと定められています。国家発展改革委員会が09年9月6日に公布した「価格独占禁止規定」(草案)第9条では、業種協会が次の行為に従事することを禁止しています。すなわち、(1)業種協会規則、決定、通知等を制定、公布して、価格を固定し、又は変更すること、(2)当該業種の事業者を招集して討論し、かつ合意、決議、要録、覚書等を成立させて、価格を固定し、又は変更すること、(3)事業者の価格独占合意の成立のために、便宜条件を提供すること、(4)国務院価格主管部門が認定する、法により禁止されるその他の価格独占合意行為です。

業種協会への処分とは

江口  では、インスタント麺協会のこのような行為について、独占禁止法執行機構はどのように認定し、処分したのでしょうか?

 国家発展改革委員会が公表したインスタント麺協会に対する処分意見によると、国家発展改革委員会は、「価格独占禁止行為制止暫定規定」第4条に基づき、インスタント麺協会が協議、取り決めまたは協定等の通謀方式を通じて、統一的に価格を確定、維持または変更し、通謀、市場価格の固定および操作があったと判断し水平価格カルテルが存在すると認定しました。そして、協会と関連の参加企業に対する処分は、公開謝罪、悪影響の除去、値上げ行為の停止がなされました。これらの処分が行われたのは独占禁止法の施行前でしたので、インスタント麺協会や関連企業に対する経済的な処分について、国家発展改革委員会は具体的な処罰金額を公布していませんでした。

江口  本来ならばどの程度の罰金が科せられますか?

 国家発展改革委員会が公布した「価格独占禁止規定」(草案)第24条第2項によれば、「独占禁止法」第46条および第49条が適用され、独占合意をすでに実施した場合には、年間販売額の1パーセント以上10パーセント以下の過料に処せられます。

江口 拓哉 弁護士
Takuya EGUCHI

森・濱田松本法律事務所(東京)
http://www.mhmjapan.com/


Concierge上海 09年12月号掲載

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