中国最新税務通達と移転価格文書化対策 執筆者 : わかる税務教室

今回は国家税務総局114号通達とそれを補充する形で公布された国税函363号通達について解説します。

企業所得税課税強化の最新通達

北京商報など中国紙は、国家税務総局114号通達(7月27日公布)の公表の背景を左記のように伝えています。
・当局は、罰金、滞納金を含めた追徴課税目標を1千億元(約1兆  4 千億円)と設定
・07年は全国の企業40・ 5万社への検査を実施、追徴課税等総額が513・ 6億であることから、昨年の約 2倍の目標設定となる
・国家統計局は07年の結果として、中国で赤字を計上している外資企業の3分の2は利益を不正に海外に移転しており、税収への影響は300億元に達すると試算、公表
当通達は全20項目にわたり、徴収管理の強化を指示しているものであり、この中でも外資系企業に関連する項目を次に記します。
第6項 損金算入項目の確認
原則として企業の自主申告である棚卸差損、固定資産廃棄損の損金算入の実在性、合理性を確認するための税務局による実地  確認の強化
第12項 移転価格管理
輸出型加工製造業が、経済危機に伴う景気悪化の影響を中国法人に転嫁することを防止
第17項 外国企業・個人の労務提供
外国企業が中国に人員を派遣して行う、労務提供に対する課税強化(税務登記義務付け等)
第19項 大企業、所轄の納税大戸に対する重点調査
自主修正申告および税務リスク内部統制構築の奨励&立入り確認と罰則、継続監視右記の第12項に関連して、7月 6 日付で国税函363号通達が公布されています。
①来料加工や進料加工など、機能とリスクの限定的な企業が、経済危機の影響を受け、利益水準(課税所得)が落ち込む状況を監視する
②機能・リスクの限定的な企業(中国語で「単一生産等有限功能・風険的企業」) が欠損となる場合は、取引高の多寡に関わらず移転価格文書を作成し、翌年 6 月 20日までに税務当局に文書提出を義務付ける
③特に、タックスヘイブン国・地域に利益を 移転させている可能性のある企業への立入り調査を強化する


363号通達の真意

363号通達は文面どおりに解釈すれば「単一機能製造法人」が08年度に(税務上)欠損を計上している場合、移転価格文書・資料を、09年 6月20日まで(初年度につき09年12月末まで)に提出することが必要となります。
「単一機能製造法人」とは、材料・部品を無償支給して完成品を輸出し、加工料収入を得る来料加工貿易形式、あるいは材料・部品を保税有償して完成品を輸出し、製品販売収入を得る進料加工貿易方式、を主たる事業とする製造会社です。
当通達の真意は、中小規模(関連者との取引高2億元未満)の単一機能赤字会社に移転価格文書を用意させることではなく、①の「機能・リスクが限定的な法人が経済危機の影響を蒙るべきではない」というところにあり、過去よりも将来の損失計上を未然に予防すべく、企業に向けたメッセージと受けとめるべきでしょう。
続きはwww.nerachina.comへ。

※  本稿の中国語版はwww.nerachina.com/cn/news.aspを参照ください。


鈴木康伸 公認会計士
Yasunobu SUZUKI

NERA Inc. 中国総代表
www.nerachina.com


Concierge上海 09年10月号掲載

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