09年も下半期に突入しました。そこで、今回は中国における
09年後半の税務実務の行方について解説します。
中国財政部の発表によると、09年上半期の中国における税収は、約2・9兆元(40兆円)と前年同期比6%の減収となっています。その一方で、4月までの財政収入の落込みが9・9%であるのに対し、税収は5月が4・8%増、6月が19・6%増と回復の兆しを見せています。その理由として財政部は、税務部門の税収確保への積極的な取り組みを挙げています。
この取り組みの外資系企業へのアプローチの一つに、非居住者企業に対する恒久的施設の認定課税があります。これが、09年3月1日から施行された「非居住者工事請負および役務提供に関する税収管理暫定弁法」(国家税務総局第19号令)に当たります。
この法令では、中国国内に所得の源泉を有する非居住者に対し、自ら税務登記をすることを義務付けており、また中国国内で建築、据付、組立、修繕等の工事請負、あるいは加工、修理、設計、技術指導等の役務提供を行う非居住者は、工商登録の要否を問わず、プロジェクト契約あるいは協議の締結から30日以内に、所轄税務当局に納税義務者としての税務登記手続を行い、年末には確定申告をすることが義務付けられています。さらに、当該工事あるいは役務の受益者であり源泉徴収義務を負う国内組織および個人にも、源泉徴収義務が生じた日から30日以内に、所轄税務当局に源泉徴収義務者としての登記手続を行うように規定しています。
この法令では、登録および確定申告の厳格化を規定しているものの、源泉徴収義務者が非居住者に送金する際、源泉徴収し納税する、という形に原則的な変更はなく、納税義務者自ら納税する状況は、源泉徴収義務者が自らの義務を履行しない、という非常に限られた場合のみでしょう。
最近の調査事例で特徴的なのは、技術使用許諾契約、技術指導契約に加えて、出向契約までも含めて、恒久的施設の有無を判断する資料として収集しているところにあります。
中国の現地法人と本国企業との給与レベルに差があることなどを理由に、日本からの出向者の給与の一部を本社で支払うケースは多く、これを現地法人の負担とすべく、「給与の実額」を法人間で振替える場合があります。
当該出向者が現地法人の管理職、あるいは技術職という立場にあり、当該役職を通じて行う作業が、日本法人(非居住者)の行う工事請負、あるいは役務提供とは一線を画するものであることは、間違いありません。しかしながら、法人間での費用付替が役務対価の支払、決済方式において、外見的に類似していることから、税務当局の疑義を招く可能性は否定できません。また実際に、他社に所属する技術者等を日本本社へ出向させ、さらに現地法人に再出向する形態では、出向元(他社)と出向先(日本本社)間で派遣契約が結ばれ、現地法人と本社間での給与実額以上の役務対価の授受がなされている可能性があります。非居住者の納税問題における中国税務当局の懸念は、まさに外⇔外で決済され表面化しない中国源泉所得をいかに補足するか、という点にあり、これに類する問題としては、中国法人持分の外国企業間での譲渡に対する譲渡益課税があります。
税務登記をさせたとしても外⇔外決済の把握に必ずしもつながるわけではありませんが、厄介なのは、問題がないことを立証せよ、という立証責任の転嫁が中国ではあり得ることです。
疑念を抱かせないことが税務調査の予防になる、ということから考えると、立替給与の法人間決済は極力避け、中国でも日本でもいずれでも構いませんが、現地法人から個人口座への直接振込に切り替えるなどの対策を検討すべきでしょう。
※本稿の中国語版はwww.nerachina.com/cn/news.aspを参照ください。
Concierge上海 09年09月号掲載