独占禁止法の実務に対する影響(8) 執筆者 : 中国的法律講座

今回は、中国の独占禁止法の「事業者の集中」に対する規制について検討します。

事業者の集中

江口  前回は、「市場における支配的地位の濫用」という独占行為の1つについて簡単に紹介しました。では、次に張継文律師に中国の独占禁止法の「事業者の集中」に対する規制について紹介していただきます。

独占禁止法第 20 条に、事業者の集中とは次の状況を指すと定められています。

(1)事業者が合併すること
(2)事業者が持分または資産を取得する方法により他の事業者に対する支配権を取得すること
(3)事業者が契約等の方式により他の事業者に対する支配権を取得すること、または他の事業者に対して決定的な影響を与えることができること

江口  日本や欧米では、事業者の集中が一定の申告基準に達した場合、独占禁止法執行機関に申告する必要がありますが、中国では、どのように事業者の集中の申告基準を定めているのでしょうか? また、なぜ事業者の集中は必ず申告しなければならないのでしょうか?

独占禁止法第 21 条で、事業者の集中が国務院規定の申告基準に達する場合、事業者は事前に国務院独占禁止法執行機構に申告しなければならず、申告していない場合、集中を実施してはならないと定められています。中国政府が公布した「事業者集中の申告基準に関する規定」第3条によれば、申告の基準には次の2つの大きな指標が含まれており、事業者の集中がそのいずれかに達した場合は事前に申告しなければなりません。

(1)集中に参与するすべての事業者の前会計年度の全世界における売上高の合計が100億人民元を超え、かつそのうち少なくとも2つの事業者の前会計年度における中国国内の売上高がいずれも4億人民元を超えること
(2)集中に参与するすべての事業者の前会計年度の中国国内における売上高の合計が 20 億人民元を超え、かつそのうち少なくとも2つの事業者の前会計年度における中国国内の売上高がいずれも4億人民元を超えること
事業者集中の申告制度の目的は、過度の集中による独占行為を防ぎ、またコントロールして、市場の競争秩序を維持することです。その制度自体は、企業が大きく、強くなることに反対するものではありません。


濫用行為の調査および処分

江口  では、過度の事業者集中によってどのような事態や結果がもたらされうるのでしょうか? 過度の事業者集中が生じた場合、中国の独占禁止法では、どのようにそれらの集中の行為を規制するのでしょうか?

 過度の事業者集中によって以下のような結果が生じることが考えられます。

(1)市場参入の障壁が高くなって競争者の市場参入の機会が減ると同時に、市場に参入しようとする競争者に危惧を抱かせ、競争が制限される
(2)競争相手同士の集中によって、従来の競争者の間の競争が半永久的に失われる
(3)市場支配的地位にある企業が集中によってさらに市場のコントロール力を増し、有効な競争を阻むことになる
過度の集中という一種の独占行為を予防するため、中国の独占禁止法では、事業者集中の事前申告制度、申告基準および審査基準を定めると同時に、リニエンシー制度(自主申告に対する処罰免除の制度)も定めています。

江口  では、次回は、事業者集中の審査を担当する行政法律執行機関および審査期限について、張継文律師に紹介してもらいたいと思います。


江口 拓哉 弁護士
Takuya EGUCHI

森・濱田松本法律事務所(東京)
http://www.mhmjapan.com/


Concierge上海 09年08月号掲載

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