賃金改定について 執筆者 : 人事労務の基礎

今号では、この時期にお問い合わせの多い賃金改定ついてご案内します。


賃上げか凍結か賃下げか

賃金改定を4月に控えた企業様から、この時期多くのお問い合わせを頂戴します。賃金改定には、会社業績・物価上昇などの世間の趨勢・景気動向・本社の意向・人材市場相場との格差・昨年の賃金改定状況・経営者の思いなど、さまざまな要素が関係します。その中でも2010年の賃金改定は、景気動向にともなう事業予測がつけにくいと伺っています。こうした状況では、企業の優先順位に応じていくつもシナリオを用意し、検討しておく必要があるものと思います。


賃金改定の例

賃金改定ではまず全体の方向性を定め、次に従業員個々の賃金体系を見直す必要があります。

(1) 賃金体系の見直し
賃金体系を見直す際に特に注意が必要となるのは、香港では職務給体系が一般的である点です。つまり、入社してから職能等級により、右肩上がりに賃金が上がるわけではなく、職種(営業・会計など)によって、また、行っている業務内容や資格・タイトル(ポジション)・経験などにより賃金が決定されることになります。
そのため、まずは従業員の行っている業務内容のグレード(単純作業・定型作業・熟練作業等)分けが必要です。
次に、自社の賃金テーブルに各従業員をあてはめてみます。
その後、自社の賃金テーブルと香港の人材市場相場とを比較し、賃金格差の是正(世間相場水準・社内格差)を検討します。社内に賃金テーブルが存在しても、市場相場に合わせてある程度臨機応変に対応しなければ、社員の離職、あるいは滞留を招くことにもなります。

(2) 従業員個々の評価
次に各従業員の職務およびその遂行能力評価等により、個別の昇給を行います。

(3) ベースアップ
まだ原資が残っていれば消費者物価の動きに伴うベースアップを検討することになりますが、これを賃金改定の最初に持ってくると、社内格差をつけにくくなります。


通知のポイント

さて、実際に賃金改定の結果を従業員に告げる際には、面談の機会を持つことをおすすめいたします。賃金改定そのものよりも、それを通じて、会社と本人の目標にズレがないようすり合わせる機会を設けることが大切だと考えます。従業員との面談時には評価結果・改定後の賃金・今年度期待する事項などを伝えます。通知は口頭でも有効ですが、改定後の賃金はやはり書面で通知することをおすすめします。特に賃下げ時には通知書よりも契約書の裏書(Endorsement)を作成し、下がった後の賃金について契約を交わしておく方がよいでしょう。

評価は「ノー・サプライズ」が原則です。ノー・サプライズとは、「そういう期待や要望であるとは知りませんでした」というような従業員のコメントが出てこないことを意味します。ここでは日頃の信頼関係の構築や日常の評価のフィードバックがしっかりできているかどうかが、評価結果の納得や理解を生む重要な要素になるでしょう。

牧野祥子 Sachiko MAKINO
STAFF MANAGEMENT CONSULTANCY LTD.


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concierge香港 2010年1/2月号掲載

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