中国で成功する人事！

1.人材確保の様々な観点

　企業が社員の定着率を高め大切な社員に長期間働いてもらう、あるいは外部から人材を確保するために、皆様の会社ではどんなことをされていますか。一般的によく聞かれるのが処遇の改善、人材の現地化、研修など成長の機会の提供といった対応です。これらはすべて大切なことで、自社および中国に適した方法で進めることで一定の効果が見いだせる可能性があると言えます。

2.社員にとって魅力的な企業とは

　社員が企業の何に魅力を感じるかは一般的に年齢、勤務年数や人生のステージ、家庭の所得レベルなど属人的な要素によって異なります。しかし私どもがコンサルティングの現場で社員インタビューを行うと、およそ企業の発展性、公平・公正・透明な人事制度、権限の委譲、成長と昇進の機会、中国人として尊敬してほしい、円滑なコミュニケーション、そして安定性といった望みを持っている方々に多くお目にかかります。意外かもしれませんが最後の「安定性」を求める気持ちは日系企業に勤務する方に多い傾向です。

3.気が付きにくい方向性

　私どもは多くの企業の人事制度構築をお手伝いをしています。その中で日系企業に見られる特徴の一つとして「処遇の横並び意識｣があります。これ自体は決して悪いことではありませんが、こと人材の確保という観点でいうと、社員からは魅力的に映りにくいという側面を持ちます。給与体系は人事制度で適切に整えるとして、今回は福利厚生におけるいくつかの方向性をご紹介します。
以下は弊社が上海および江蘇省の日系企業に実施した福利厚生調査の一部ですが、補充（法定外）住宅積立金については13％、退職金は4％の企業が実施しているという結果で、総じて低い実施率でした。これらは企業のコストになるため安易に導入を決める訳にはいきませんが、人材確保の観点では一考に値する手段です。機会があれば横並び意識を見直してこの種の福利厚生をほかの企業との差別化に利用してみてはいかがでしょうか。
またこれ以外に中国人社員への接し方や労働関連法規の特徴などは駐在員の立場では日本との違いに気が付きにくいこともあるかもしれませんので、専門家の話を聞く機会を作ることも大切だと思います。