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『営業秘密保護規定』の解説 その③ ~営業秘密保護における行政手段~

中国の法律制度のもと、営業秘密の保護には、おおむね民事、刑事、行政という3つの手段がある。『営業秘密保護規定』(国家市場監督管理総局令第126号、以下『規定』という。)には、どのように行政手段を通じて営業秘密を保護するかが詳細に定められている。

一、技術秘密とその他の営業秘密の管轄区分

『規定』第3条は、技術秘密類の事件については区を設けた市級以上の市場監督管理部門又は国家市場監督管理総局の同意を得た県級の市場監督管理部門が管轄すること、また技術秘密以外の営業秘密類の事件については県級以上の地方市場監督管理部門が管轄することを定めている。

二、行政告発の提起条件

『規定』第17条と第18条は、営業秘密の権利者が行政告発を提起する場合、次の2つの方面において初歩的な証拠資料と具体的な手がかりを提供すべき旨を定めている。
(1)その主張する商業情報が営業秘密に該当することに関する初歩的な証拠資料。通常は、次を含む。
・当該商業情報の形成過程及び作成時期
・当該商業情報が営業秘密の構成要件(非公知性、有用性、秘密管理性)を有すること
(2)権利侵害の疑いがある者が営業秘密侵害行為をしたことに関する具体的な手がかり。例えば、次のものである。
・権利侵害の疑いがある者が営業秘密取得の経路又は機会を有していた手がかり
・権利侵害の疑いがある者が営業秘密の秘密保持措置を不正な手段で破壊したこと
(3)権利侵害の疑いがある者がすでに実際に営業秘密を取得していること。
(4)権利侵害の疑いがある者によってすでに営業秘密が開示若しくは使用されていること、又はそのリスクがあること。

三、権利侵害の疑いがある者が主張できる権利不侵害の抗弁事由

『規定』第15条は、営業秘密侵害に該当しないいくつかの行為を、次を含み非網羅的に列挙している。
(1)独自に発見し、又は自ら研究開発する行為。
(2)公開ルートから入手した製品について分解、測量製図、分析等を行い、製品の関係技術情報を取得する行為(リバースエンジニアリングともいう)。
(3)従業員が業務の中で蓄積した一般的な知識、技能若しくは経験又は公開ルートから入手可能な業界情報を得る行為。
(4)違法犯罪行為を暴露し、又は国の利益と公共の利益を保護する等のため、国の機関、行政職能を有する法定機構及びそれらの職員に対し法により営業秘密を開示する行為。

四、市場監督管理部門の自主調査行為及びその制限

『規定』第23条は、市場監督管理部門において実施可能な5つの調査行為を定めている。課せられる制限が低い順から並べると次のとおりとなる。
 第一、制限を受けることなく自ら実施できる調査行為。これには、権利侵害の疑いがある者、利害関係者その他の組織及び個人への尋問、これらの者に対する状況説明又は関連資料提供の要請、並びに権利侵害の疑いがある行為に関係する業務文書と資料の照会及び複製が含まれる。
 第二、市場監督管理部門の主要責任者に書面により報告して承認を得た後に限り実施できる調査行為。これには、権利侵害の疑いがある行為の経営場所への立ち入り検査が含まれる。
 第三、区を設けている市級以上の市場監督管理部門の主要責任者に書面により報告して承認を得た後に限り実施できる調査行為。これには、権利侵害の疑いがある行為に関係する財務の差押え及び押収、並びに権利侵害の疑いがある事業者の銀行口座の照会が含まれる。

五、行政処罰の結果

『規定』第24条及び第25条は、営業秘密侵害行為者を違法行為停止命令、違法所得没収及び過料の行政処罰に処さなければならないことを定めている。このうち、違法行為停止命令には、営業秘密の使用停止命令、営業秘密媒体の返還又は廃棄命令、権利侵害製品又は半製品の廃棄命令、取得した営業秘密の消去命令等が含まれる。
 行政処罰の過料は、情状の深刻度によって、10万元以上100万元以下と、100万元以上500万元以下の2種類の結果となる

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