キーマンインタビュー

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欧力士科技租賃(天津)有限公司
副総経理 松村 裕文 氏 2026年5月号
巨大市場を切り拓く
オリックス中国の現在地
世界約30カ国にグローバルネットワークを持ち、モビリティ分野においては世界トップクラスの車両管理台数を誇るオリックスグループ。中国で自動車リース事業を手掛ける「欧力士科技租賃(天津)有限公司」にて副総経理を務める松村氏に、中国市場での事業戦略と、付加価値サービスによる差別化の取り組みについてお話を伺った。

オリックスグループは、世界約30カ国で、リース事業を基盤に金融、投資、事業運営を組み合わせた独自のビジネスモデルを展開しています。中でもモビリティ分野、とりわけ自動車リースは重要な柱の一つであり、オリックスグループの車両管理台数は約172万台(2025年3月末時点)と世界トップクラスの規模を誇ります。
中国市場は、その中でも極めて重要な戦略拠点です。自動車保有台数は約3.66億台と世界最大規模を誇り、今後大きな成長が見込まれます。当社は1981年、中国におけるリース事業の黎明期から事業を開始し、ファイナンス、オペレーション、投資・M&Aなど幅広い事業を展開してきました。こうした経験を背景に、現在はモビリティ分野の中核である自動車リース事業のさらなる拡大に取り組んでいます。
私が統括する自動車リース事業では、営業車や総経理車など法人向け車両を中心に、契約期間中の維持管理まで含めたトータルサービスを提供しています。契約期間は3年が主流ですが、お客様の利用状況に応じて柔軟に設定することが可能です。
特に外資系企業においては、「運用面」へのニーズが高く、運転手付きリースを希望されるケースも多く見られます。一方で、リース会社が直接運転手を抱えるなど、中国では法規制との整合性に課題のある運用も散見され、企業が意図せずリスクを抱えるケースもあります。
当社では、こうした課題に対応した運転手付きリースサービスを提供しています。具体的には、提携派遣会社を通じたスキームにより法令順守と適正運用の両立を図り、企業が安心して利用できる体制を整えています。
巨大市場で持続的な成長を実現するには、単なる台数拡大ではなく、質の高いサービスをいかに提供し続けるかが重要です。当社は、現地拠点の知見を結集しながらその基盤づくりを着実に進めています。
現在、特に注力しているのがテレマティクスサービスです。車両の位置情報や走行データ、運転の危険挙動などを把握し、運行管理の高度化を実現します。中国では車両の使用実態が十分に管理されていないケースも多く、プライベート利用や不適切な運用がブラックボックス化しやすい状況があります。また、交通違反の通知が車両所有者(リース会社)に届く制度上、実際の運転者の特定や社内での管理が煩雑になりやすいという特有の事情もあります。
こうした課題に対し、テレマティクスサービスは大きな効果を発揮します。導入企業からは「運行状況の可視化により車両管理の精度が向上した」「安全運転意識が高まった」といった声に加え、「導入初月で、燃料コストの3分の1を削減できた」などの成果も報告されています。単なる管理ツールにとどまらず、コスト削減とリスクマネジメントを同時に実現する経営支援ツールとして高く評価されています。
さらに、日本で培ったその他の自動車関連サービスも重要な競争優位性です。例えば、ガソリンカードや安全講習会等のリスクマネジメントサービスなどを中国市場に段階的に導入することで、より高度な車両管理体制の構築を支援できればと考えています。
中国企業は依然として価格重視の傾向が強い一方、特に外資系・日系企業ではサービス品質を重視している動きもみられます。価格競争が続く市場においても、付加価値サービスへの期待は着実に高まっています。今後、当社はこうしたニーズを捉え、付加価値型サービスを展開し、成功事例をもとに市場全体へと拡大していく戦略です。
また、自動車リースに加え、設備買取事業にも注力しています。近年、企業の撤退や再編に伴う設備処分ニーズが増加しており、新たな市場機会が広がっています。リース事業で培ったアセットマネジメントの知見を活かし、査定から買い取り、再販まで一貫して提供することで撤退企業の課題に貢献しています。
オリックスグループの中国自動車リース事業は、2012年の合弁会社設立以来、着実に経験を積み重ねてきました。そして2025年からはグループ単独での自動車リース事業を本格化しています。これまでの経験とノウハウを活かし、意思決定のスピードと柔軟性を高めながら、市場環境に即した戦略を推進しています。まずはテレマティクスサービスの導入・普及を軸に、管理台数の拡大を図っていきます。
目指すのは、単なる車両リースにとどまらず、「顧客のビジネスを支えるパートナー」となることです。モビリティを起点に、運行管理、安全対策、コスト最適化といった多面的な価値を提供し、企業の競争力向上に貢献していきます。
中国市場は変化のスピードが速く、従来の成功モデルが通用しない場面も少なくありません。一方で、新たな価値創出の機会にも満ちています。これまで培った知見をもとに、現地に適したサービスへと進化させながら、持続的な成長を目指してまいります。

2010年に初めて上海を訪れ、今回が二度目の駐在です。特に大きな変化はITや生活インフラの進化で、現金を使う機会はほぼなくなり、買い物も自宅で完結するほど便利になりました。EVの普及も進み、街の随所で先進性を感じます。

共に働く仲間との一枚(左:細川さん、右:宋さん)。現在、当社には中国籍2名、日本籍3名の計5名の駐在員が在籍。経営層も中国籍のメンバーが中心となっており、現地化と多様性を強みに事業を推進しています
プロフィール Hirofumi Matsumura
趣味はドラム

台湾駐在中、他社の駐在員仲間とのバンド練習をきっかけにドラムを始めました。いつか格好よく叩けるよう、今も時間を見つけて練習を続けています。

現在、家族は妻の実家がある長野におりますが、夏頃には上海で一緒に暮らす予定です。子どもは小学校1年生と生後7カ月。写真は生後まもない頃の一枚です。
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