キーマンインタビュー

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三菱倉庫(中国)投資有限公司
董事長・総経理 塩入 康男 氏 2025年11月号
総合力を発揮する
「三菱倉庫」グループ
中国では1996年に物流事業を開始して以来、倉庫・輸送・フォワーディングなど幅広いサービスを組み合わせ、総合力を発揮する「三菱倉庫」グループ。「三菱倉庫(中国)投資有限公司」董事長・総経理として、環境対応や効率化を進めながら急速に変化する中国市場に挑む塩入氏にお話を伺った。

「三菱倉庫」の価値を提供
1887年の創業以来、138年の歴史を誇る「三菱倉庫株式会社」は、日本国内のみならず、世界各地で総合物流事業を展開しています。中国では1996年に「上海菱華倉儲服務有限公司」を設立し、倉庫およびトラック輸送事業を開始。その後、2001年に倉庫事業会社「北京環捷物流有限公司」、2004年にはフォワーディング事業会社「上海菱運国際貨運有限公司」、そして2012年に統括会社「三菱倉庫(中国)投資有限公司」と物流不動産事業会社「上海青科倉儲管理有限公司」を設立しました。また、現在はグループ会社である「富士物流株式会社」の現地法人各社とも一体で運営を行っています。
過去の合弁形態やライセンスの制限により複数の事業会社が存在していますが、実際の業務では各社のサービスを組み合わせ、「三菱倉庫」としてお客様のサプライチェーン全体を網羅しています。言い換えれば、中国における「三菱倉庫の完全版」というイメージで、日本で展開する幅広い物流サービスを、中国でも同様に展開しています。物流に関するあらゆるサービスをご提供できる体制となっていますので、お客様のご要望を広くカバーできるのが強みです。
また、EVトラックや倉庫内の自動化設備を積極的に導入するなど、環境に配慮した物流事業を意識し、企業としての社会的責任を果たすとともに、お客様の環境への取組みにも貢献することを目指しています。
私は現在、「三菱倉庫(中国)投資有限公司」および「上海青科倉儲管理有限公司」の董事長兼総経理、また「上海菱華倉儲服務有限公司」、「上海菱運国際貨運有限公司」の董事長を務めています。主な職務は、中国における事業戦略を各事業会社とともに立案・推進し、それぞれのサービスを結び付けて物流の総合力発揮を主導することです。
また、中国には現在、先述した7つのグループ会社がありますが、会社名だけを見ると「三菱倉庫」グループだと分かりにくい場合があります。そのため、「会社や名前は違っても、ひとつの『三菱倉庫』ブランドである」という認知を広めることも、私の重要な役目だと考えています。
中国でのビジネス戦略
当社グループでは、「中国・東南アジア・北米・欧州・インド」の5極体制で海外事業を展開しています。本年度より開始した2030年度に向けての中期経営計画では、海外事業のさらなる伸長を目指しており、中国事業の重要性はますます高まっています。
海外事業は各国・地域の特色を踏まえた展開が不可欠ですが、中国事業においては巨大な人口に下支えされた内需と産業振興が大きなカギとなります。近年は従来の主流であったBtoB物流に加え、消費者向けのBtoC物流が急拡大しています。例えば、当社が上海市内に倉庫物件を保有し、テナントに賃貸する「物流不動産事業」では、お客様は専ら小売・EC事業を目的に利用されています。今後はますますBtoC物流の重要性が加速していくと予想されますので、こうした時代の流れを観察しながら変化に対応していければと思います。
また、浦東新区の張江に所在する自社倉庫は、国内向け商品の保管・配送を行う事業からスタートしました。同倉庫は現在も当社事業の中核となる存在ですが、以後国内の他地域にも倉庫拠点を拡大するとともに、製造業のお客様の工場に常駐して3PL物流サービスを提供する「工場内物流」事業も展開しています。
フォワーディング事業については、中国が世界のサプライチェーンにおける重要拠点であることを踏まえ、製造設備や原料・部品の輸入、製品の輸出といった企業活動をサポートしています。海外から中国への製品の輸入および一貫物流も主要事業であり、貨物船による海上輸送や航空輸送、通関業務などを網羅した一貫輸送も実施しております。
中国拠点ではすでに「三菱倉庫」としてのサービスが一通り揃っています。今後はそれらをさらに強化しつつ、加えて高度な技術を応用した新しいサービスを開発・展開していく予定です。この日本同様のサービス展開と新技術を活用した新たな取り組みの2つの柱で今後さらにサービスに磨きをかけてまいります。
物流の力で社会を支える
中国進出から30年以上の時が経ち、経済環境は大きく変化しました。そのなかで、日系企業・中国企業を問わず、お客様が変革の時代を迎えられていることを痛切に実感しています。
当社は日系企業として、より品質の高い物流事業を目指すことを第一としておりますが、その上で、機械化・自動化を通じてより効率的なサービスを提供することも心がけています。中国は物流機器の開発製造や情報技術の面で高いレベルにありますので、そうした先端技術を積極的に導入していく計画です。
当社グループでは、「いつもを支える。いつかに挑む。」をパーパスとして策定しています。これは、創業以来130年以上に亘り、物流を通じて常にお客様と社会を支えてきたことへの誇りとともに、絶え間ない挑戦の歴史を続けてきたという想いが込められています。
物流は重要な社会インフラですが、時としてあまりの身近さからその重要性を忘れられてしまうこともあります。しかし、意識されないほどに安定したサービスを提供することも、当社事業の価値の1つだと捉えています。
これからも、時代とともに変化するニーズへの感度を高め、安全・確実・迅速な物流を通じて、より豊かな社会の実現に貢献してまいります。

上海の人々は外国人にもとても自然に、親切に接してくれます。さすが歴史ある国際都市、と感心しています。中国での生活と仕事は、これからもさまざまな新しいものがどんどん生まれてくるのだろうな、という予感と期待がしています。

上海菱華の張江倉庫です。前ページ写真は、今回導入するロボットを使用した設備です。これからも新しい技術を取り入れて高機能な物流を提供していきます。
PROFILE
プロフィールYasuo Shioiri
1971年生まれ、東京都出身。慶応義塾大学法学部卒業後、1994年に「三菱倉庫株式会社」入社。入社後5年間福岡支店に配属され、1999年から東京本社にて国際輸送事業部門に所属し、アジアの物流事業を担当。2003年~2009年はゼネラルマネージャーとして、2014年~2022年はマネージングダイレクターとしてタイ・バンコクに駐在。2025年4月より上海に赴任し現在に至る。

人生に影響を与えたもの

1970年代~1980年代にかけての幼少期をドイツのデュッセルドルフで過ごしました。若かりし頃に海外で働きたいと会社に希望を出した原点です。

当社の厦門拠点で、中秋節の行事「博餅」に参加しました。中国国内10都市あまりに拠点があるので、各地方の文化にも触れていきたいと思います。


















