キーマンインタビュー

瑪魯哈(上海)貿易有限公司大連分公司
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瑪魯哈(上海)貿易有限公司大連分公司

総経理 吉川 俊介氏 2022年3月号

“安全安心・鮮度為命”
資源アクセスと総合力で
おいしい幸せを届けます


漁場から工場、そして市場へ


 マルハニチロの前身である大洋漁業は、それまでの取り組みや技術交流により1973年に中国との直接貿易が許される「友好商社」に指定され、農水産物の買付を開始しました。当時、大連では、鮮魚の買付と営業冷蔵庫や食品加工設備の販売を連動させた補償貿易を展開し、1984年には大連駐在員事務所を開設しました。友好商社の特徴を生かして優良な産地・工場との関係を構築しながら、中国が制定した保税委託加工制度によって、海外から持ち込む自社原料の中国国内保税加工を本格化。その後1997年にマルハ上海貿易有限公司の大連分公司として現地法人化、国内販売を開始、現在に至っています。
 当社と中国との関係を遡ると、初めは「漁場」として中国を捉えていました。つまり、当社の漁船が中国沿海まで行って魚を獲って日本に持ち帰っていたのです。1970年代に、それぞれの国の沿岸から200海里までは、他国の漁船が自由に出入り出来なくなったことから、中国の漁業会社から魚を買い付けるようになり、その後、人件費の安さを生かした「工場」へと移り変わり、そして近年の目覚ましい経済発展により、海のお魚を食べる「市場」へと変化してきています。


大連のワカメが日本の味噌汁を支えている


 マルハニチロは約70カ国との取引により年間70万㌧の水産物を中心とした食品を取り扱っています。米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、中国などのグループ会社が漁獲した原料や、世界各地の産地で買い付けた多種多様な原料を中国・東南アジア・日本などで業務用、ご家庭用の製品に加工し、日本や米国、中国、欧州等海外市場に販売しています。
 マルハ(上海)貿易有限公司大連分公司は、現在、大連産ワカメ、丹東産アサリなどの中国産水産物や様々なお魚の骨無し切身やアジフライなどの冷凍加工品、フルーツ缶詰等の生産指導・検品・買付のほか、ノルウェー産鯖、ししゃもなど自社原料の保税委託加工、そして北海道産帆立や干し貝柱、超低温マグロなどの中国販売を進めています。特に、大連のワカメ生産量は、日本国内生産量の5倍にも達しており、大連のワカメが日本の味噌汁を支えていると言っても過言ではありません。また、丹東産アサリも、日本のボンゴレパスタや回転寿司の味噌汁を支え続けています。骨無し切り身は、病院、介護施設や幼稚園、最近では外食向けの需要が強く、このコロナ禍でも年々販売量を増やしてきています。 


中国市場は論より証拠


 中国国内販売を始めた当初、キューバ産のロブスターを中国で販売しようとした際、日本では不要なロブスターの頭を予め切り落とした状態で流通させていますが、中国のお客様からは、頭を切り落とさないで欲しいと言われました。そもそもなぜ不要な頭を残すのかと思いましたが、その当時はコールドチェーンが発展途上だったため、魚全体を見て良し悪しを判断する傾向がとても強く“鮮度が良くないから、それが如実に分かる頭を落としている”と思われることに気づかされました。
 また、キャットフードが中国ではあまり普及していかなった頃、中国のお客様に当社の猫用ツナ缶詰を紹介している際、鮮度の良さを感じてもらうため、私が缶を開けて中身を食べ始めたところ、お客様がもの凄く驚かれたのを良く憶えています。当社の猫用ツナ缶詰は「餌」という位置づけではなく、人が食べる「食品」と同じ鮮度と品質で製造していますが、当時の中国では、「餌」と「食品」を明確に分けていた背景があることが分かり、こういったことがあってから、その意識の垣根を目の前で壊すことが、私達のプレゼンとなりました。ちなみに動物病院へ販促を行った際には、何も食べられないほど衰弱した子猫に弊社のツナ缶を与えたところ、途端にガツガツと食べ始め、その場で成約出来たこともありました。


アフターコロナの新しい商機を掴む


 なぜ、お客さんの目の前で、キャットフード缶詰を開けて食べたのか、実はもう一つ理由があります。それは、缶詰の中身を見られないことが、中国市場にとって、日本人が考える以上に大きなマイナスになっていると思っていたからです。さきほどのロブスターの話と同様に、鮮度や状態は自分で確認したい、しっかり納得して買いたいという強い意識が、中国のお客さまの根底に今でもあると思っています。
 では、そもそも缶詰や冷凍食品などの加工食品は中国では難しいかと言えば、私は、今回のコロナ禍が転換点となり、これからは若い世代が冷凍食品やレトルト食品の消費を牽引していくと見ています。“鮮度や状態の確認”が“信頼するブランドの確認”に取って代わり、そして、他国の様々な料理が簡単に味わえるようになることで、食生活が大きく変わっていくと思っています。中国国内では、すでに多くの水産加工技術が普及しています。良質で洗練された電子レンジ対応食品やレトルト食品など、いままで輸入していたものも、これからは中国での生産、いわゆる内製化が進み、消費のすそ野が広がることで、水産原料の安定的な需要が、これまで以上に高まるものと見ています。
 中国の海岸線の長さは日本の半分しかありません。要するに海のお魚に触れる機会が日本の半分しかないと私は認識しています。しかし、コロナ禍による巣籠り需要から、近年発展を続ける中国のコールドチェーンはその強みを発揮しました。これからは、より多くの人が海のお魚に触れることが出来るようになると思います。
 私たちは、アフターコロナの食生活がコロナ前に戻るのではなく、新しい食生活へと変化を遂げていく中で、世界最大の水産会社として、世界の水産資源にアクセスしながら安全安心を提供し、中国市場における新しい商機を掴んでいきたいと考えています。


長野県人会は心の拠り所、昨年はコロナ感染により、何回か延期をしましたが、それでも3回開催。ローカルな話で盛り上がり、最後は県歌“信濃の国”をみんなで斉唱、何回歌っても感動します。



PROFILE
よしかわ しゅんすけ

1966年生まれ。長野県出身。麗澤大学外国語学部・中国語学科卒業。在学中の1988年~1989年に在北京日本大使館にて派遣員として2年間勤務。1991年大洋漁業株式会社(現マルハニチロ)に入社。入社直後に中国産缶詰を担当、以来、冷凍原料、冷凍食品等買付け、合弁企業での加工事業展開、中国市場への水産原料、加工品の販売に従事。2003年~2010年の上海勤務を経て、2016年より大連勤務。


<吉川さんをさらに知る>


完全養殖マグロ解体ショー


昨年12月に北京にて弊社完全養殖マグロの解体ショーを中国側企業と共同開催。垂日本国大使、赤松上海総領事、等々力大連所長に弊社のSDGsに向けた取り組みを聞いていただきながら、完全養殖マグロをご試食いただきました。


日本食材展示会


2020年11月に大連市内で開催された日本食材展示会にて、北京日本大使館派遣員時代の上司である亀井大連所長(現広州総領事)と記念撮影。まさか、30年後に大連で一緒に駐在出来るとは思っていませんでした。


BBQ大会


大連分公司スタッフと年に一回、毎年作るマルハニチロTシャツを着て、星海湾でBBQ大会をしています。21年版Tシャツのテーマは、ずばり“鮮度為命”!


瑪魯哈(上海)貿易有限公司大連分公司

大連市西崗区中山路147号申貿大厦20階
℡(0411)8369-0081

瑪魯哈(上海)貿易有限公司大連分公司

住所 辽宁省大连市西岗区中山路147号申贸大厦20楼 MAP
電話 0411-8369-0081

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