キーマンインタビュー

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瑪魯哈(上海)貿易有限公司大連分公司
総経理 吉川 俊介氏 2022年3月号
資源アクセスと総合力で
おいしい幸せを届けます
漁場から工場、そして市場へ
当社と中国との関係を遡ると、初めは「漁場」として中国を捉えていました。つまり、当社の漁船が中国沿海まで行って魚を獲って日本に持ち帰っていたのです。1970年代に、それぞれの国の沿岸から200海里までは、他国の漁船が自由に出入り出来なくなったことから、中国の漁業会社から魚を買い付けるようになり、その後、人件費の安さを生かした「工場」へと移り変わり、そして近年の目覚ましい経済発展により、海のお魚を食べる「市場」へと変化してきています。
大連のワカメが日本の味噌汁を支えている
マルハニチロは約70カ国との取引により年間70万㌧の水産物を中心とした食品を取り扱っています。米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、中国などのグループ会社が漁獲した原料や、世界各地の産地で買い付けた多種多様な原料を中国・東南アジア・日本などで業務用、ご家庭用の製品に加工し、日本や米国、中国、欧州等海外市場に販売しています。
マルハ(上海)貿易有限公司大連分公司は、現在、大連産ワカメ、丹東産アサリなどの中国産水産物や様々なお魚の骨無し切身やアジフライなどの冷凍加工品、フルーツ缶詰等の生産指導・検品・買付のほか、ノルウェー産鯖、ししゃもなど自社原料の保税委託加工、そして北海道産帆立や干し貝柱、超低温マグロなどの中国販売を進めています。特に、大連のワカメ生産量は、日本国内生産量の5倍にも達しており、大連のワカメが日本の味噌汁を支えていると言っても過言ではありません。また、丹東産アサリも、日本のボンゴレパスタや回転寿司の味噌汁を支え続けています。骨無し切り身は、病院、介護施設や幼稚園、最近では外食向けの需要が強く、このコロナ禍でも年々販売量を増やしてきています。
中国市場は論より証拠
また、キャットフードが中国ではあまり普及していかなった頃、中国のお客様に当社の猫用ツナ缶詰を紹介している際、鮮度の良さを感じてもらうため、私が缶を開けて中身を食べ始めたところ、お客様がもの凄く驚かれたのを良く憶えています。当社の猫用ツナ缶詰は「餌」という位置づけではなく、人が食べる「食品」と同じ鮮度と品質で製造していますが、当時の中国では、「餌」と「食品」を明確に分けていた背景があることが分かり、こういったことがあってから、その意識の垣根を目の前で壊すことが、私達のプレゼンとなりました。ちなみに動物病院へ販促を行った際には、何も食べられないほど衰弱した子猫に弊社のツナ缶を与えたところ、途端にガツガツと食べ始め、その場で成約出来たこともありました。
アフターコロナの新しい商機を掴む
では、そもそも缶詰や冷凍食品などの加工食品は中国では難しいかと言えば、私は、今回のコロナ禍が転換点となり、これからは若い世代が冷凍食品やレトルト食品の消費を牽引していくと見ています。“鮮度や状態の確認”が“信頼するブランドの確認”に取って代わり、そして、他国の様々な料理が簡単に味わえるようになることで、食生活が大きく変わっていくと思っています。中国国内では、すでに多くの水産加工技術が普及しています。良質で洗練された電子レンジ対応食品やレトルト食品など、いままで輸入していたものも、これからは中国での生産、いわゆる内製化が進み、消費のすそ野が広がることで、水産原料の安定的な需要が、これまで以上に高まるものと見ています。
中国の海岸線の長さは日本の半分しかありません。要するに海のお魚に触れる機会が日本の半分しかないと私は認識しています。しかし、コロナ禍による巣籠り需要から、近年発展を続ける中国のコールドチェーンはその強みを発揮しました。これからは、より多くの人が海のお魚に触れることが出来るようになると思います。
私たちは、アフターコロナの食生活がコロナ前に戻るのではなく、新しい食生活へと変化を遂げていく中で、世界最大の水産会社として、世界の水産資源にアクセスしながら安全安心を提供し、中国市場における新しい商機を掴んでいきたいと考えています。
長野県人会は心の拠り所、昨年はコロナ感染により、何回か延期をしましたが、それでも3回開催。ローカルな話で盛り上がり、最後は県歌“信濃の国”をみんなで斉唱、何回歌っても感動します。
PROFILE
よしかわ しゅんすけ
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瑪魯哈(上海)貿易有限公司大連分公司
℡(0411)8369-0081
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