キーマンインタビュー

大江橋法律事務所
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大江橋法律事務所

  • エリア:陸家嘴

上海事務所首席代表・弁護士  松本 亮 氏

リーガルサポートで
リスク回避と目的を達成
企業と日中平和に貢献


1995年に上海第1号の日系総合法律事務所として進出して以降、中国律師らと共に日系企業のリーガルサポートを行っている「大江橋法律事務所」。日本と異なるフィールドの中国で、潤滑な企業経営やリスク回避のために常に心がけていることを上海事務所首席代表・弁護士の松本さんに話を伺った。 



上海初の日系総合法律事務所

 大江橋法律事務所は弁護士3名が、人に、社会に、時代に、「よい事務所をつくる」という精神のもと、1981年に設立しました。2002年に東京事務所、2015年に名古屋事務所を開設。上海第1号の日系総合法律事務所として、1995年に進出を果たし、現在では約160名の弁護士が所属しています。
 中国への進出は創設メンバーの一人である塚本宏明弁護士が1990年代後半以降の中国の成長を確信していたことがその狙いですが、それが見事に的中し、今日においても中国法務は大きな柱の一つとして位置付けています。中国律師らと共同して、日系企業の中国での進出から撤退まで、中国で直面するあらゆる法的問題を主に取り扱っています。近年では新型コロナウイルスの影響もあり、中国での債権回収案件、日本の親会社の目が届きにくい子会社の不正調査案件、中国子会社の整理などを取扱うことが増えています。当事務所はどんな状況下であろうと、中国国内のこうした案件に対してもあらゆる専門分野を幅広くカバーし、多くのクライアントから厚い信頼を得ていると自負しております。
 私自身は、2010年の北京大学法学部への留学以降、10年以上に亘って中国法務に携わり、これまで日系企業が中国で直面するあらゆる法律問題を中国律師らと共同して対応してきました。例えばクライアントが中国に進出したり新しいビジネスを開始したりする際に当該新事業を許認可などの関係から問題がないか確認したり、中国現地法人が労働問題や債権回収にトラブルが発生した場合などにサポートさせて頂いています。

「黒子」に徹し、リーガルサポート

 ひと昔前のことですが、裁判で証拠がそろっているにもかかわらず日系企業であることで不利な判断をされたり、裁判官から個別に食事にいかないかと誘われたりと、予想だにしないことがありました。現在は裁判官がもつ公平性や、判決を下した自分自身の評価に繋がること、モラルを大切にする考え方が浸透しつつあることから、そういった言動は見られなくなりましたが、日本では絶対にありえない出来事だったので、とても驚きました。また清算を決めた会社で、社員が少しでも高い経済補償金をもらおうと社長を拘束したこともありましたが、社員らと真夜中になるまで根競べで交渉して、最終的に無事に合意に至ったことは日本では経験できない良い思い出です。
 中国では訴訟でも日本と異なる視点や観点が必要になります。例えば、人民への影響を政府に訴えかけ、司法解決に影響を及ぼしてもらうケースです。例を挙げると、ある百貨店を代理して買い物カードの発行会社に対し債権回収訴訟を提起した案件では、買い物カードの発行会社だけでは返済できないことが明らかであったため、地方政府に働きかけをして、数多くの人々に影響を及ぼすことを主張して、和解案を引きだすことに成功しました。また、案件のスムーズな進行のために人脈を伝って上層部の人から話をしてもらう場合もあり、これらは日本とは異なる点だと思います。
 当事務所は日本の大手総合法律事務所として、日本の親会社が求めるレベルでのリーガルサービスを提供することが可能であり、それが一つの強みだと考えています。決して中国の律師事務所のレベルが低いということではなく、例えば日本の親会社の取締役会で納得いただける意見書の作成や、会議での問題点の指摘に即応できる準備などの、いわゆる痒いところに手が届くリーガルサービスは、日本の親会社の業務を行っている我々だからこそ対応しうると考えています。日系企業のクライアントから選んでいただけるよう、日系企業に求められるレベルで目の前の一つ一つの案件を丁寧に対応していくことが重要だと考えて取り組んでいます。
 私が考える法律事務所というのは、俳優の演技や舞台進行の介添えするために黒い衣装を纏い、黒頭巾を被った「黒子」のような存在だと考えています。中国でビジネスを行うクライアントが主役であり、それを陰で支えるのが法律事務所だと思います。黒子として主役にリスクを伝えることはもちろん重要ですが、リスクを指摘する場合には、単に法文上のリスクとして伝えるのではなく、実際のリスクとしてどの程度あるのかをできるだけ具体的に伝えるとともに、そのリスクを回避しながら目的を達成する方法がないか提案できるよう心掛けています。その我々の提案を通じて、クライアントがビジネスを成功させ喜んでいただけることが私達の一番の幸せです。

日中平和に貢献

 日本と中国は隣国として切っても切れない地理的・経済的なつながりがあり、中国人は日本の製品、サービス、コンテンツなどを高く評価しています。日本ファンの中国人を増やすことは、日系企業にとってもちろんプラスではありますが、両国の草の根レベルでの交流や友好を支える重要なポイントになってくると思います。
 こんなことを申し上げると恥ずかしいのですが、私は日中間のリーガルサポートを通じて日中平和に貢献したいと考えています。我々法律事務所はあくまで黒子であり、クライアントである日系企業が主役ですが、そのサポートを通じて経済交流を促し、双方にとってより良い関係を築いていくことが日中平和の第一歩だと信じています。
 当事務所が中国へ進出してから26年が経ちました。私は4代目の首席代表になり、既に最長記録を更新しています。これからも日系法律事務所の強みを活かして、日系企業の中国ビジネスをリーガルの側面からサポートしていく所存です。


中国に初めて訪れたのは1990年。祖父の旅行に連れられ、北京、河北省の張家口、山西省の大同などを回りました。以降、学生時代には新疆やチベットなどに旅行に行くようになりました。チベットには青海省から入った際、当時は青蔵鉄道がなかったため56時間もバスに揺られ続けたことが懐かしいです


事務所のメンバーとの会議での一枚。情報共有はもちろん、メンバーとのコミュニケーションを計る場として重きを置いています



PROFILE

プロフィール 
Ryo Matsumoto

1976年生まれ、大阪府大阪市出身。京都大学法学部卒業、大阪市役所勤務を経て、2005年に大江橋法律事務所へ入所。事務所からの派遣で2010年から北京大学法学部に留学。2012年より上海事務所にて執務。現在は大江橋法律事務所上海事務所の首席代表。



松本さんをさらに知る

友人たちとのゴルフ

今年の清明節に友人らとミッションヒルズ深圳にゴルフ旅行に行った時の写真。趣味のゴルフは大切な息抜きです。


バックパッカーとして


大学生時代はアルバイト代を貯めては長期の休みにバックパッカーとして旅行していました。できるだけ地づたいに行くことで距離を感じたかったので、飛行機は帰りしか使いませんでした。これはトルファンにて葡萄をご馳走になった時の写真。

上海語の勉強

上海に10年ほど住んでいるので一念発起して上海語の勉強を始めました。マンツーマンで週一回、教室に通っています。ただ実際に使える場面は少ないので趣味のようなものですね。


大江橋法律事務所

大江橋法律事務所

住所 浦東新区陸家嘴環路1000号恒生銀行大厦13階 MAP
電話 021-6841-1699

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