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中国特許法の手引き(6)

これまで数回にわたり特許の「実用性」、「新規性」、「進歩性」の要件について説明しました。今回は特許権を付与されるために必要な条件の一つ「十分な公開」についてご説明いたします。

1) 特許公開の要求の必要性について


 特許制度の目的の一つは、特許権者に一定の「独占権」を付与する代わりに特許権者にその技術を社会に十分に公開させることです。十分に公開されることで、社会公衆は当該技術をすぐさま理解し、その中から新たなひらめきを得ることができるのです。特許権の有効期間が満了した後、特許技術は公衆が完全に把握し、自由に活用することができるものとなります。
   特許公開の要求は、特許権者の尚早な特許出願や広すぎる請求項の提出を制限することができます。先願主義の原則の下、多くの発明者が発明技術がまだ成熟していない時点で、急いで特許を出願しています。このような予測と推測の性質を帯びた特許出願に対して、十分な公開は有力な制限手段となります。また、発明者は常に限りある技術貢献を基礎として、最大の利益を求めるために、自身の請求項を最大限広くしようとします。特許法は、発明者に対し、請求項が包括するすべての技術案について十分に開示し、熟練技術者が実現可能であることを保証するよう要求しています。もしこの要求が満たされない場合には、当該請求項は却下されることになります。十分な公開の要求は、発明者が広すぎる保護範囲を求める可能性を大いに制限しています。  

2) 進特許公開の要求には一定の限度が必要であることについて
 
   特許法が請求項の十分な公開を通じて、広範囲な請求項に対して制限を行うことは、必要であるに違いありませんが、必ず一定の限度がなくてはなりません。要求が厳しすぎると、出願者がどの程度であれば十分な公開の要求を満たすことになるのか分からなくなり、また権利の範囲を制限しすぎると、他の者が簡単な代替方法を用いて権利者の権利範囲を容易に回避することができるようになり、不正競争を助長することとなります。一部の開拓的発明については、その影響する分野は大変広く、完全な独占権を付与すると科学技術の進歩に対してマイナスの影響をもたらす恐れがあります。そのため、各国の立法者は各国の具体的な状況に応じて、適当な基準を把握する必要があります。

3) 特許公開の要求の規定について
 
   中国の「特許法」第26条第3項および第4項は、十分な公開の要求に関する基本規則です。
 「明細書では発明または実用新案について、その属する技術分野の技術者が実現できることを基準として、明瞭で完全な説明をしなければならない。必要なときは図面を添付するものとする。要約では発明または実用新案の技術の要点を簡潔に説明しなければならない。特許請求の範囲では、明細書を根拠として、特許保護を請求する範囲を明瞭かつ簡潔に限定しなければならない」と規定されています。
 特許出願における十分な公開に関する具体的な要求には、通常以下のような内容が含まれます。
(1)請求項の技術案が実現可能であること
(2)明細書において請求項で画定する発明について書面による説明がなされていること 
(3)請求項が明確であること
(4)実施例が開示されていることなど
   今後、それぞれの内容について具体的に説明していきます。




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