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日英通訳 ラナ なおみさん

安心して裁判に臨めるよう日本人を通訳でサポート


法廷通訳として、日本人が香港で公平な裁判を受ける権利を支えるラナなおみさんに、通訳の仕事とその姿勢を伺った。

勉強に励んだ時期

  1993年、夫の仕事の関係で香港に住みはじめました。日本では金融業界で経理、不動産投資関係の仕事をしていましたが、バブル全盛期とその崩壊と、激動の時代を経験しました。その後、夫の転勤についていく形になり、これはじっくり学べる機会だと香港大学の大学院へ入学しました。専攻は主に法律、国際関係、戦争や人権問題など。法学修士課程を修了した後、社会学部政治学科の修士課程を始めましたが、途中ロンドンへ移ることになり、LSE社会学部人権学科修士課程入学、その後東京を経て再び香港へ戻り、2011年にHKUSPACEでCPEという法律分野のPost Graduate Diplomaコースを修了しました。香港でもロンドンでも、英語という言葉の壁があるなかで必死に勉強を続けてきましたので、その時に「これで勉強は一区切りにして、人生をもっと楽しもう 」と思いました。
 ちょうどその頃、知り合いの弁護士に学んできたことを生かして法廷通訳になってはどうかと助言をいただきました。自分としても、少し仕事もしてみたいと思っていた時期でもあり、香港の司法機構所属の日英法廷通訳人として働きはじめました。

日本人の法廷通訳として


 2013年10月からこの仕事を始め、もうすぐ4年になります。日本人が被告人や証人になる案件はもともと少ないうえ、近年は英語ではなく広東語での裁判が増えてきているせいか、そう頻繁に案件があるわけではなく、法廷通訳として働かせていただくのは時々です。主に担当するのは刑事裁判ですが、家庭裁判所にあたる家事法廷や、土地関係の事案を裁く土地審裁処、簡易裁判所に相当する小額銭審裁処、労資関連の労資審裁処へ行くこともあります。刑事裁判の場合、裁判の内容は事前には知らされず、前もっての準備は全くできません。当日、開廷前のわずかな時間に検察官に頼んで「簡潔な事柄」という書面を見せてもらい、あとは裁判が始まってからの一瞬一瞬が勝負です。厳粛な法廷のなかで間違いのないようやりとりを伝えるのは緊張の連続。審理は数分で終わることもあれば、長引くと数時間、案件によっては連日の出廷になります。
 大変な思いをすることもありますが、 香港という外国で困難な状況に直面している日本の方たちにとっては、日本人の通訳が入ることで少しでも安心していただけるのかなと思っています。例えば、警察の取り調べでは香港人の通訳の方がつくことが多いようで、裁判の時に 「日本人の方が通訳してくださってよかったです」などのお言葉をいただくと、やりがいを感じます。

通訳にとどまらない活動を

 法廷通訳から始めましたが、これから徐々に警察、刑務所、税関など他の機関でも通訳のお仕事をさせていただけるようになると聞いています。専門知識を生かした通訳の仕事はやりがいもあり、今後もお役に立てればと思っています。いっぽうで、自分にとってはここが最終的なゴールだとは考えていません。大学では特に、国際政治、戦争や平和、人権等に関心を持って学んできました。難民問題やインドの貧困問題、性産業への子供の人身売買に関しては、今後何らかの活動ができないかとも考えているところです。これからも香港で法廷通訳を続けながら、そういった分野での勉強会に参加したり、実際に活動をされている方々のお手伝いが少しずつでもできればいいなと思っています。

PROFILE

ラナ なおみ

立教大学法学部を卒業後、金融業界で主に経理、不動産投資業務に従事。1993年に初来港、1996年に香港大学修士課程(LL.M.)修了。ロンドン、東京を経て2005年からふたたび香港在住。2011年にHKUSPACEでCPE修了、2013年から法廷通訳に従事する。


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