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中国特許法の手引き(5)

前回「新規性」とは、先行技術の中に出願者が保護を求める技術案が含まれているか否か、抵触出願が存在するか否かのご説明をしました。今回は「進歩性」についてご説明いたします。

(1)「進歩性」の意味について

 「特許法」第22条第3項において、進歩性とは、先行技術に比べ、当該発明に際立った実質的特色と顕著な進歩があり、当該実用新案に実質的特色と進歩があることを規定しています。「特許審査ガイドライン」によると、実質的特色とは一般的に当該技術案が熟練技術者にとって自明でないことをいいます。また「顕著な進歩」とは、発明が有益な技術的効果を有していることを指します。

(2)「進歩性」を判断する基本的な方法について

 発明が進歩性を有するか否かを判断する場合、中国の「特許審査ガイドライン」は基本的に欧州特許庁の手順、いわゆる「三ステップ法」を採用しています。「三ステップ法」とは、
(1)最も近い先行技術を確定する
(2)発明の区別される特徴および発明が実際に解決する技術的課題を確定する

(3)保護を請求する発明が技術者にとって自明であるかどうかを判断するということです。


 これら3つのステップいずれもが、出願後に架空の「熟練技術者」の事前の考えまたは方法を復元することは明らかであり、「後知恵」(hindsight)の影響を受けることは避けられません。実際に紛争が発生した時には、発明の完成時点から相当な時間が経過しています。一般的な技術者にとって、すでに進歩性を有しないものとなっている可能性があります。そのため自然と裁判の難度が上がることとなります。特許法によって制度面からかかる影響を排除するようにしなければなりませんが、ほぼ不可能であると言えます。

(3)熟練技術者について

 熟練技術者について、「特許審査ガイドライン」では次のとおり説明しています。「属する技術分野の技術者とは、当該分野の技術者とも称され、ある仮定の『人』を指し、その者は出願日または優先権日以前に発明が属する技術分野のすべての一般的な技術的知識を知っており、当該分野のすべての先行技術を知り得ることができ、かつその日以前の通常の実験手段を用いる能力を有するが、創造能力を有しないことを仮定しています。解決すべき技術的課題が、当該分野の技術者にその他の技術分野においてから技術的手段を探すよう促すことができる場合、その者は、その他の技術分野から当該出願日または優先権日以前の関連先行技術、一般的な技術的知識および通常の実験手段を知り得る能力を有しなければならない」とされています。


 司法実務においては、権利者は常に熟練技術者の技術水準を引き下げ、自身の出願が進歩性を有していると認定されやすいようにする一方、権利侵害者は常にその技術水準をなんとかして引き上げようとします。米国の裁判所は、技術水準を確定する際には、発明者の教育レベル、技術案が解決しようとする課題、先行技術が提供する当該課題の解決案、発明完成の速度、技術の複雑性、当該技術分野の研究者の教育レベル等の要素を考慮しなければならないとしました。


 これらの要素をどのように総合的に判断するかは、裁判官次第となります。




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