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「中華人民共和国環境保護税法実施条例(意見募集稿)」
「中華人民共和国環境保護税法実施条例(意見募集稿)」(以下、「実施条例」)が2017年6月26日付けで公布されました。
今回の実施条例は意見募集のためのドラフトとなっています。一カ月間の意見募集期間(7月26日まで)を定めており、意見収集後に関連部局内での検討の結果、正式に公布されることになります。
実施条例(意見募集稿)は、五章四十二条から構成されます。
第一章 総則
第一条において環境保護税法に基づき実施条例が制定されるとしています。第二条から第十条までは環境保護税法の各条項で明確でなかったその他の汚染者、汚染物の種類、汚染の標準、汚染物処理場の定義などが行われています。特に重要となる汚染物あるいは汚染の種類は以下の通り定義されています。
●大気汚染物(排出が大気の環境質量に影響を与える物質)
●水質汚染物(排出が水質に影響を与える物質)
●固体廃棄物(工業生産活動で発生する廃棄物および医療活動中に発生する廃棄物)
●騒音(工業生産活動で発生し、周囲の生活環境へ悪影響を与える騒音)
上記の汚染(物)は、環境保護税法に添付されている附表一「環境保護税税目税額表」、附表二「課税汚染物および汚染単位(量)表」によって汚染単位当たりの課税額が規定されています。例えば、大気汚染では、大気に排出される汚染物に応じて汚染単位当たり、1.2元から12元課税されることになります。
第二章 課税額の計算方法
大気汚染物、汚染水では、排出されるすべての汚染物質を個別に計測し、その環境への影響度などを考慮し、単位当たりの汚染相当量に応じて課税することになります。
さらに固形汚染廃棄物では、課税される廃棄物の計算方法を以下の通り規定しています。
固形汚染廃棄物量=当期固形廃棄物生産量ー当期固形廃棄物総合利用量ー当期廃棄物貯蔵量ー当期固形廃棄物処置量
●当期固形廃棄物総合利用量(政府部門より廃棄を認められた免税部分)
●当期廃棄物貯蔵量、処置量(政府部門より貯蔵、処置を認められた免税部分)
税務申告の遅延、虚偽の申告、廃物を不法投棄した場合は、上記の免税部分の控除が認められず、当期固形廃棄物生産量に全額に課税されると規定されています。
第三章 減税および免税措置の対象基準
環境税の減免措置を受けるには、当月の大気汚染物の一時間当りの平均排出量あるいは汚染水の一日当りの排水量は、国家および地方で規定されている排出基準を超えてはならないとしています。
第四章 環境税の徴収管理
国務院の税務部局は、環境保護主管部門と全国統一の環境保護税に関する税情報共有プラットフォームを構築し、技術の標準化、データ収集、保存、転送、検索および使用規範を明確化にするとしています。
上述のプラットフォームの共有は、環境保護主管部門と税務機関とで納税者の基本情報を共有するわけですが、行政部門が縦割りとなっている中国では、実際に効率よく必要な情報の共有が行われるまでは紆余曲折があると予想されます。
第五章 施行日
まだ意見募集の段階であり、正式な環境保護税法実施条例となっていないものの、上記の内容を踏襲し環境汚染企業には厳しい内容となると予想されます。
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