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中国著作権法の手引き(15)

①ネット上の間接侵害の概要


(1) 間接侵害の行為類型

 知的財産権の学術界では、ネットワークサービス事業者を①コンテンツ・プロバイダ(ICP)、②サービス・プロバイダ(ISP)の2つに分類するのが慣例でした。コンテンツ・プロバイダは版権コンテンツを直接アップロードするため、著作権侵害の場合、通常は直接侵害を構成します。一方、サービス・プロバイダは、ユーザーまたはサイトにサービスを提供する権利侵害の場合、通常は間接侵害(一般的に教唆侵害と幇助侵害に分類)を構成します。



(2) 直接侵害と間接侵害の区別

 直接侵害と間接侵害の境界線はそれほど明確ではありません。そのため誰が責任を負うかという点の区別が難しく、サービス・プロバイダとユーザーの間の直接侵害と間接侵害行為の区別はきわめて微妙です。
 前回お話しましたが、間接侵害は一般的に直接侵害行為の発生が前提です。ネット環境下で、法院が(原告と被告の双方が本当の身元を知らない可能性のある)第三者の行為が、権利侵害を構成するか否かの認定は容易ではありません。中国における過去のネット上の間接侵害事例を見る限り、原告が第三者の著作物伝達行為が許諾を受けていないと主張しさえすれば、大部分の法院は当該主張が成立すると推定しており、その後被告が反論しています。ほとんどの場合、被告側はこの推定を覆す有力な証拠を提供できていません。

② サービス・プロバイダの過失の認定


 間接侵害の認定の前提は、行為者に主観的過失があること、つまり直接侵害が発生することを知りながら、または知り得るべきでありながら、直接侵害者を誘引すること。またはそれに幇助を提供することを指します。ただし、サービス・プロバイダによる間接侵害と関わりのある中国の「情報ネットワーク伝達権保護条例」(以下「条例」)および「権利侵害責任法」のいずれにも、かかる基準は明確に規定されていません。

③ 「ノーティス・アンド・テイクダウン」ルール


 「条例」は、米国の「ノーティス・アンド・テイクダウン(Notice and Take Down)」の原則を導入しています。当該ルールによれば、著作権者は第三者がサービス・プロバイダにより提供されているネットワークサービスを通じて著作権を侵害していると考える場合、書面で権利侵害の通知を送付することができます。サービス・プロバイダは、要件を満たす通知を受け取ったら、直ちに権利侵害に係るコンテンツまたはリンクの削除ともに、その通知を第三者に転送しなければなりません。第三者は、権利侵害の通知を受け取った場合、書面による説明(すなわち「反論通知」)を提出し自らの行為の適法性を証明できます。もし反論通知を受け取った場合、そのサービスを再開しなければなりません。

 「条例」の第14条から第17条において細かく規定されている中で、「権利侵害責任法」第36条第2項は、このルールの対象を一般的なネット上の権利侵害の領域に広げ、ネット環境下の各種民事権利(例えば氏名権等)侵害行為に適用しています。しかしながら、具体的な規則が定められておらず、合理性と実用性には大きな疑問が残ります。




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