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中国組織再編税制の最新情報

組織再編税制における特殊性税務処理が「認可制」から「届出制」へと移行しました。

特殊性税務処理

 特殊性税務処理とは持分買収、合併、分割などの組織再編の過程で持分を時価評価せず、税務上の簿価を引き継ぐ税務処理を指します。
 例えば、日本の親会社の中国子会社持分を中国に設立した投資性会社へ簿価で現物出資し、仮に持分の時価が簿価を上回る場合においても特殊性処理を適用することで課税を繰延べできる効果が期待できます。これまで中国国内子会社の再編、投資性会社の傘下化の阻害要因として特殊性税務処理の手続き上の不透明さがありました。

通達規定


 通達の規定によると、特殊性税務処理の認可条件として、合理的な商業目的を有する、再編後の12カ月内は従来の経営活動を変更しない、持分も譲渡しない、対価たる持分交付額が取引総額の85%以上である、といったものがありましたが、これらを充足していたとしても認可を受けられないという状況が続き、実質的に特殊性税務処理の認可は受けられないという認識が広がっていました。
 このたび公布された新通達では、組織再編税制における特殊性税務処理が「認可制」から「届出制」への移行が明確になったことが大きな特徴です。つまり、必要資料の提出と条件充足により特殊性税務処理を受け付ける届出制に変更となり、以前のような説明のない門前払いが無くなります。
 手続きの簡素化もさることながら、特殊性税務処理が実質的に機能することが期待されています。
 一方注意すべき点は、手続きの簡素化に伴い自己責任の原則が取り入れられ、会社の判断で特殊性税務処理の届出を行い、税務局の事後の調査により条件不適合と判断された場合に罰金、滞納金が課せられるリスクが高まったということでしょう。
 上海国税・地税局では従来から特殊性税務処理の申請が多い地域であるため、届出の増加を予想し市局レベルで別途通達を公布しています。
 当該通達では、特殊性税務処理の届出受領要求、受領後の管理、審査体制が記載されています。また、当該通達では提出資料の条件を充足した場合、税務局は規定の時間内に受領する旨なども明記されています。
 当該通達において受領後の管理、審査体制として特に特殊性税務処理を審査、調査する専門チームが編成されたことは注目に値します。専門審査チームにより数年経てからの厳格な審査もあり得ることを認識しておきましょう。

特殊性処理の実務


 実際に筆者が上海郊外の税務局へ行なったヒヤリングでは、届出された資料は通達の規定に基づき受領し、専門チームへ送り審査するとのことでした。このことから、届出が受理されたとしても、専門チームの審査段階で否認されるケースが増加するかもしれません。
 このように、どの段階をもって組織再編税制が適用されたかという判断が難しいとはいえますが、少なくとも事務処理が進むことは朗報といえるでしょう。



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