中国で成功する人事！

前々回のコラムで、職場における大切な価値観として｢希望と信頼｣を取り上げました。

今回はそのうち２つ目の｢信頼｣について深堀りをしてみます。

日系企業における職場の信頼で大切なのは、日本人経営者・管理者と中国人社員間、そして中国人社員間或いは部門間の２つの信頼関係だと思います。

ず前者で考えるべきことは、コミュニケーションギャップや価値観、文化的差異への理解不足による信頼の低下で、この主体は日本人と中国人の双方です。ご存知の方も多いと思いますが日本人は非言語によるコミュニケーションを多用する民族です。例えば顔つき、ジェスチャー、あえてぼかした話し方などで、それに加えて相手も自分の気持ちを理解してくれるだろうと期待、推測する傾向が強いと言えます。それに起因して相手が期待通りに動いてくれないことで信頼が低下するのであれば、それは酷というものです。価値観や文化的差異については多くを語る必要もないと思います。

もう一つは、社員への信頼というのは、効果的な内部統制が機能している状態で語るべきであることを経営者が認識できているかどうかです。合法的で管理と牽制の効いた組織、役割・責任・権限の明確化・文章化以外に、監事の公司法にある権限のフル活用、グループ会社の内部監査機能の利用などがやるべき事柄です。

後者、つまり社員間と部門間の信頼関係については、会社全体にチームワークを醸成する制度があるか、また経営者がその大切さを日々社員に語っているかどうかです。特に企業ミッションが社員に充分理解され、毎日の仕事はその実現のために皆が同じベクトルに向かっていることを理解してもらうことが大切です。それ以外には評価に繋がる行動に、チームワーク、顧客満足、多様性等の概念が入っているかどうかも見落としがちです。そして日本人経営者や管理者が職場において中国人社員に対し、｢私は皆さんを信頼をし、期待をしている｣ということを感じてもらえるような言動や行動をとることが最も大切なのだろうと感じています。